2018年02月26日

曽根崎キッドの日々 26

 これ以上話してても、新世界キッドのおじいさんはなんとなく核心からは距離をもってるな、と曾根崎キッドは感じ、「ちょっと一杯行ってきます」とミファソを出た。さつきがやってくるかもしれなかったが、なんとしてもさつきと話をしなきゃ、という気分でもなかった。
 曾根崎キッドはジャンジャン横丁へと向かった。また串カツでも食べようかと思い、先日ゆうと行った店に行こうと思った。店の前には意外にも行列が並んでいた。日曜日だった。串カツ屋は地元以外のヒトが来る日だった。曾根崎キッドはきびすを返してジャンジャン横丁の入り口を横に入った路地の空いている店に飛び込んだ。 少し酔いたい、と思った。
 日本酒のラインナップを見て、曾根崎キッドは少し嬉しくなった。立山の普通酒があった。それを頼むと10秒で出てきた。串カツもあったから数種類頼み、モツ鍋も注文した。すぐに店員が目の前のコンロにふたのしてある一人用鍋を持ってきてかけた。「10分ほどで」と言い残して去っていった。立山を飲みながら、なぜトドムンドの社長は自分の事をバラしてしまったのだろう、と考えた。それによってすごくやりにくくなったのは事実だし、実際にこちらへ来てからいろんなことがありすぎて、何をするのかがよくわからなくなってきた。ゆうは味方ではないとは思うが新世界キッドのおじいさんやさつきにしてもどこまで信用していいのやら、そして根本的なとこではトドムンドの社長だって、一体何を考えているのか。 全然わからない。
 コップ酒を三口ほどで飲み干し、お代わりと黒ビールを頼むと、串カツがいっしょに出てきた。
 「芥子をください」と店員に言うと、小皿にチューブからうにっと絞ったのを持ってきてくれた。ソースをつけ芥子をつけ、涙出そうなくらい辛い串カツを食べ、黒ビールを飲む。時計を見れば5:30だった。串カツを大方食べ終わった頃にモツが煮えてきた。ふたを開ければ湯気と共にやや危険な香りが立った。その香りは曾根崎キッドを挑発しているかのようだった。一旦はしをつけるともう止まらなかった。立山をお代わりし、モツと野菜を食べ、濃厚なスープを啜り、立山を飲み、曾根崎キッドは「トドムンドの赤ワインもいいが、こっちのこういうのも捨て難いな」と思う。多少自堕落になっているかな。それもヨシじゃないかな。
 立山をもう一杯お代わりしようと顔を上げたとき、視線を感じた。L字型のカウンターの反対側に男がいた。その視線はそれまで数分間曾根崎キッドに固定されていたのだな・という気がした。(つづく)  
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2018年02月25日

五輪はシールド

訃報が続く。これからも続くだろう。わかっちゃいるとは言え、、、。

「個性」がどんどん消えていく。そしてのっぺりした顔だけが、残る。

アスリートたちも大変だなあと思う。スポンサー探し。男子カーリングの子たちが「女子ならそんなことはなかろうが、自分らはスポンサーの継続が、、、、、」と寂しそうだった。オリンピアンといえども、経済合理性からは逃げられない。かなり歪んだ合理性である。富は偏在して、「あるとこにはある」のに、見返りの「多い方」にしか回ってこない。悩ましい。

平昌オリンピック、大変面白かった。DPRKの参加も良かった。おれは綺麗事も必要であると思うから。

が、いつも奇妙に思うことがある。よその国の五輪にもかかわらず、自前のテーマソングを作って放映時に延々流し続ける。耳にタコである。歌詞がいただけない。より「ジットリ」していた、今回。やめてくれよ。電通。いや、ホントに。

こちらの国のアスリートたちの優秀さが際立つけれども、光があれば闇があるのが世の習い。労働者大量合法殺戮🆗、そんな法律ができようとしている。メダル「…個」の他は悲惨なことだらけ。みんなが薄々感じているcatastropheの到来を忘れるには最適な「装置」であったね。五輪のことだけど。それが2年後にはHOMEで開催されるとなるとだねえ、なんだか怖しいのね、おれは。



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曽根崎キッドの日々 25

 新世界キッドの顔色が一瞬曇ったのを曾根崎キッドは見逃さなかった。曾根崎キッドは自分の勘に賭けようと思った。
 「おれが四天王寺で拉致されたとき、そいつらの中に、ゆうちゃんがいたし、あの建物から脱出するとき、手引きしてくれたのもゆうちゃんやったし、実は今夜の宿を提供してくれてるのもゆうちゃんなんですよ。拉致したヤツらの一味ってことをおれが気づいてるってことはまだたぶん向こうは気づいてないと思うんやけど」
 「あんた、飛田の広い路の突き当たりのあの家におるんかいな」
 「ええ、あの辺ふらふら歩いてたら、ゆうちゃんと偶然出くわして」
 「えらいとこいってもうたなあ」
 「やっぱ、ヤバいっすか」
 「今日は帰る言うてんの」
 「はあ」
 「そう言うて帰らへんのもなあ。まあ、遅なってもええから帰るか」
 「ゆうちゃんにはそう言ってるんですが」
  新世界キッドの眉間に一瞬深い皺が寄り、その表情はまさに新世界キッド・と曾根崎キッドは思った、がすぐにその皺は拡散し、喫茶店のマスターのおじいさんの顔に戻った。
 「なんにせよ、何時でもええから帰った方がええやろ。まあ、あんたのことはいっつも監視してるやろけどな」
  曾根崎キッドはゆうのいた家で見た新世界のケーブルTVのことを思い出した。
  「ケーブルTVのカメラは何個ぐらいあるんですか?」
  「わしが知ってるのは12カ所やが、その5倍はあるやろな、画面見てたら」
   ということは60カ所だ、少なく見積もっても。今こうしてキッド同士で話をしていることさえ、望遠レンズが捉えているのかもしれない。(つづく)

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2018年02月24日

曽根崎キッドの日々 24

「社長のこと知ってはるんすか」  
「隠しといても、しゃーないか。 別に隠す気ぃもないねんけどな。あのな、実はカズさんなぁ、さっちゃんの昔の彼氏なんや」
「それは、さつきさんに聞きました」
「結婚寸前まで行ったんやけどなあ」
「へーえ」
「それがなあ、なんや知らんけど式の日取りまで決めた翌日に、さっちやんが突然結婚やめる、言い出しよってなあ」
「ほーう」
「いまだにはっきりしたことはさっちやんも言うてくれんねんけど、どうもわしが思うにカズさんのオンナ関係やろ」
「はーあ」
「最近はええおっさんなっとるが、若い頃は、ちょっとおらんようなやさオトコやったしなあ」
「へーえ」
「何人もおったらしいで、オンナ」
「ほーう」
「そうそう、そんとき嫁さんもおったらしいわ」
「はーあ」
「嫁さんおったら結婚はできませんわ、そもそも」
「ふーう」
「さっちゃんの方がだいぶ入れ込んどったからな」
「へーえ」
「まだ短大出てすぐぐらいやったからなあ」
「はーあ」
「あんた、割におもんないオトコやのう」
「いや、聞いてるんですよ。そこらはよくわかったんですけどね、なんで社長はテレビであんなこと言うたんでしょう?」
「あんなこと、とは?」
「いや、だって、社長はおじいさんのことなぁんにも知らんみたいに言うてたじゃないですか。でもほんとはむちゃ知り合いなんでしょう?」
「よう知っとる」
「じゃ、なんで・・・・」
「あんた、だいぶ鈍いのう。わしとあんたがつるんでるいうことが誰かに知られん方がカズさんにとって都合良かったんやろな。言うてももうばれとるが」
「誰かって・・・・」
 曾根崎キッドはその誰かとは自分を拉致した組織に深く関係していることは理解できたが、では、ゆうはどうなのだろうか、と思った。新世界キッドなら知っているかもしれない。
 「あの・・ゆうちゃんて娘、知ってはります?」                          (つづく)
 

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2018年02月23日

chinese,russia&the world

容顔如玉 容貌は宝玉のごとく
身姿如松 姿は松のごとく
翩若惊鴻 飛ぶ姿は白鳥のよう
宛若遊竜 まるで竜が遊んでいるようだ


上記の「4言絶句」は中国のアナウンサーの即興の(ていうても少しは考えてたろうが)。羽生くんのことだそうだ。

Amos Garretteのギターなら「像醉酒的神」。まあ雰囲気はある。

中国語の、というか中国の存在感、日に日に増している。阪急の駅のアナウンスでもjapanese,english,chinese,koreanが普通である。「次の宗主国?」さて、どうだろうか?Naturalと言えばこんなにNaturalなこともない?

我が物顔のchinese touristsに日頃ムカついてるみなさんにおかれましてはどうなの?

おれもイラっとはするよ。だけど、人による。対日本人であってもそこは同じじゃないかい?知りもしないのに、好きとか嫌いとかないんちゃうかな。

時間もかけて知り合った中国人たちはまたちょっと違うかな。おれを経由してるからだけかも知らんけどね。まあいいじゃないか、それでも。


さて、漢詩、漢文は受験生からも距離があって(センター受けないヤツらには全く要らん)、真面目に勉強する気にならんのが実情だけど。

好きな詩;

<春望>       杜甫

国破山河在

城春草木深

感時花灌涙

恨別鳥驚心

烽火連三月

家書抵万金

白頭掻更短

渾欲不勝簪


「都長安は破壊されたが、山河の姿は変わらず。

壊れた町にも春は来て、草木は青々と茂る

時世を思えば、花を見ても涙が溢れ

家族との別れを嘆き、鳥の声にもハッとさせられる

戦乱の続くこと数ヶ月に及び

手紙が届けば、それは万金の値打がある。

白髪頭を掻き毟れば、髪はいよいよ薄く

これではとても冠を着けて簪を差すこともできない」


最初の二行だけが有名すぎるけどね。悲痛な叫びがその後に続く。


芭蕉も「古人」のように「旅に死にたい」と言うてたよ。古人とは杜甫・李白や先輩西行らのことだけど。


今の中国語は簡略化されすぎてて若いヤツの書く中国語は却って分かりにくかったりするからちょっと厄介なんだけどね。今外国人(特にchinese)なしでは大阪の小売業成り立たないだろうし。いや、善かれ悪しかれその存在感が増してくるのがわかる。


オリンピックももう最終盤だね。冬五輪はアレだね、「位置エネルギー」ね。エレルギー保存の法則で成り立つ競技ばっかりで。夏五輪がほぼ「一人力(いちじんりき)」による競技であるのに対して、だから速さ・高さ・距離がとんでもないことになる。

これからコストナーちゃんのおそらく最後の演技とザギトワ、メドベージェワのとんでもない完成度のフリーを見よう。ザギトワなんて、彼女を嫌いとか言えないでしょ。完璧すぎて。「黒鳥」素晴らしかったもんね。バレエの国ロシアの逆襲。「世界」がそこに存在してて、そこに参加できてる宮原さんや坂本さんは幸せだと思うね。頑張ってね。


「北海道弁を、子供たちが真似するから放映やめて」とか言う偏狭というかサルというかそんな親がいる国からは遠く離れた「現場」がそこにはあるからね。






posted by 浪速のCAETANO at 09:36| 大阪 ☁| Comment(0) | その嘘・ホント? | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

曽根崎キッドの日々 23

「なにが、おいっす、やねん」と曾根崎キッドは思った。そもそもトドムンドの社長に頼まれてこの街へやってきたのに。「そんなとこにいたのー?」はないだろう。それに「なにが、カウパー氏腺液やねん。よーわからんぞ」帰ってから確かめねば。
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しかし、正体バラしてんのトドムンドの社長やん。曾根崎キッドは敵と味方が斑に入り混じったところに放り込まれたと思った。
「では、わたし、仕事がありますので」さゆりが部屋を出て行く。「どうも」
映像はまた新世界のさまざまな場所へと切り替わった。曾根崎キッドは立ち上がって窓のところまで行き外を見た。男が足元のふらついたおんなを抱えながらこの家へと入ってきた。

顔が売れてしまったこの場合、これはメリットなのか、デメリットなのか。それにしても長い一日だ。あまりにいろんなことが起こり、いろんなことがわかった。わかったがしかし、まだ゛わからないことが多すぎることもわかってしまった。そして、変なとこで顔が売れてしまった。吉沢さつきに会いに行こう。そもそもトドムンドの社長はさつきに協力してくれ、と言っていたわけだから。ミファソへ行ってみよう。

曾根崎キッドは玄関で靴を履き外に出ようとした。さゆりの姿はそこになく、長い廊下の先でひとが喋っている声がした。おとこの声とおんなの声。さっきやってきた男女だろう。ゆうがにゅっと顔を出した。
「キッド、出かけるのね。遅くなっても鍵はかけないでおくから」「ありがとう・・・・・・・・・・ゆうちゃん」ゆうはにこっと初めて笑った。曾根崎キッドが、それに応えて笑おうとした時にはその顔はすでに無表情へと戻っていた。

ミファソへ行くと新世界キッドのおじいさんがいた。曾根崎キッドを見て、笑いながら「また、えらいことになっとんなー」と他人事のように言うから「たのむで、しかしー、ですよ、ほんまー」「カズさん、ばらしてまいよったな、あんたのこと」
 「えっ、社長のこと知ってはるんすか」 (つづく)
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曽根崎キッドの日々 22

 異形の人物は目が血走り、その表情はうすら笑いの中にある種の集中を見せ、悪魔的でもあった。キャプションと↑が付いて<曾根崎キッド >とあった。「えっ?」と曾根崎キッドは声を上げた。さゆりは「ね、わかるでしょ」という意味だろうか。曾根崎キッドの方を向いて頷いた。曾根崎キッドはなかなかショックを受けていた。自分がイッちゃってる時の顔はあんななのか、と思うと、自分が他人なら「受け入れられない」と思ったし、第一その様子が極端に異様だった。しかもそいつは眼球を上に集めて「けけけ」と笑い声を上げた。その時おじいさんが画面からすっ、と消え再び画面に現れ、スキンヘッドの歪んだ表情が思いっきりこちらへ近づいたかと思うとおじいさんの身体と共に驚くべき速さで遠ざかり画面から消えていった。ゴツンと鈍い音がした。
 そして髪の毛が顔を覆ったおとこが映った。そいつは左右対称に前髪をかき分け、一瞬静止したかと思えば、「おのれら・・・」と声を張り上げおじいさんに向かって右ストレートを打ってきた。顔面に当たったように見えた。そしておじいさんのアタマは画面から消えていった。一瞬おとこの目が泳いだ。そのときおとこの顎が変な角度ではね上がり、口から赤いものを吹きながらゆっくり画面から消えていった。次のショットでは後頭部を押さえて痙攣しているスキンヘッドの男と、ズラがずれ、口のまわりを赤く染めて動かない2名の姿が映し出された。後ろに現れた悪魔的な男は二人をぴょんぴょん跨いで跳ねながら、「けけけ、けけけ」と笑い、口のまわりが真っ赤な男の頭を跨いで立ち、膝も曲げずに前屈し、男の頭に手をかけ、ズラを外した。そして店から出、ヅラを自分が装着し、二三度首を左右に振り、「コンドーですっ」と叫びヅラを飛ばした。そこで映像は止まった。口が歪み、両目は真ん中上により、そしてヅラは頭部から外れて50cmぐらいのところで浮かんでいた。
 さらに驚いたのはその後だった。その吉本の司会の男が部屋でVTRを見ているのだがカメラがパンしててそこに映ったのは・・・・・・・・・・・・。トドムンドの社長だった。曰く、
 「これこれ、これうちの曾根崎キッドやん。曾根崎デッド・エンド・ストリートのヒーロー、かつ、大バカヤロー。まあ例えて言えば、この路地のカウパー氏腺液っちゅーかんじかな。第一ピーー汁って言うてもええかな。え、こんなとこにいたの。すごいねー。でもね、このヅラ飛ばし、おれが教えたのよ。いやーやってるなー。え、このおじいが新世界キッドって言うの?ほぅー、奇遇だね、偶然だね、同じようなタイプっているんやなあ。うちのキッドも何十年かしたらこうなるんやな。ええ感じやん。まあ何事も勉強アンド経験。一回り大きくなって戻ってくるのを待ってるよー。身体に気をつけてー。おいっす」

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 「なにが、おいっす、なのだ」と曾根崎キッドは思ったが、さゆりはくすくす笑い、「と、いうわけで新世界の有名人なんですよ。時の人というか」(つづく)

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2018年02月21日

金子兜太さん

金子兜太さんが亡くなった。98歳だった。R.I.P.

さまざまな形容がある。朝日は前衛俳句運動の中心、そんな言い方。

おれなら「Punk俳句の重鎮」Frank Zappaのような、と言いたい。

金子さんは寺山やうちのお袋たち(堀内薫門下の)による高校生全国俳句大会の選者でもあった。もう65年ほど前の話だが。(結果はお袋は7位・1位は寺山修司)。

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金子さんはPMのことが大嫌いだった。なんかさあ、98歳の人生の大ヴェテランにしたら、35歳ほども下の人間などのほざく事の中にある「稚拙さ・狡猾さ」が我慢ならなかったのだろうことは想像に難くない。歳が下だからというわけではなく、そこが根拠であるところの稚拙さ・狡猾さね。歳だけが根拠なら中津の土人老人とおんなじである。いらんこと言うた。

そう「、いらんこと言う、」がおれたちの日常なんだよね。言葉で埋めるべき空間は死ぬほどある。かつ沈黙が「怖い」現代人がいる。で、ゴミみたいな言葉が溢れることになる。ゴミであるから臭う。ウンコの川を泳いでるようなものだ。

俳句の世界は真逆のヴェクトル。おれは門外漢だが、句は読む(詠むではなく)。

金子さんと長谷川櫂さんの選ぶ句は好きだった。人が出る。選ぶことも俳句である、といういことね。お袋が再開したお弟子さんたちとの句会の意味はそういうとこにもある。だから出来るだけ長く続けていただきたい。

いいな、と思うのは削ぎに削いだ作品であるから、その最終的な「詩」は色褪せ難い。サステインが長い。俳句も詩の一種ね。音楽と比べるとそこは分かりやすいかな。メロディだけではなくバックの音に乗っている「歌」はバックの音のアウトオヴデイト化という運命は避けられない。現実にそこにあるだけに厄介である。

句は、そのバックになる音を読む側が付けることができる。付けなくてもいい。

共犯的。

ご冥福(ご浄福)をお祈りしたい。お袋も間違いなくそう思っているだろう。









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曽根崎キッドの日々 21

 新世界だった。10秒ごとに画像が切り替わる。通天閣内部、パチンコ屋、別のパチンコ屋、超シブなパチンコ屋、将棋、スパ・ワールド、フェスティバル・ゲート、いずもや、映画館、スマート・ボール、寿司屋、ストリート、喫茶店、ジャンジャン横丁、たこやき屋、串カツ屋、駐車場、通天閣入り口、サウナ、朝日劇場、浪速倶楽部、通天閣歌謡劇場、ビリケン、日吉食堂、散髪屋、 新世界稲荷、動物園前駅の改札、恵比須駅。右下にも、八重勝30分、だるま35分、てんぐ10分、うずうずバーン60分、ウォータースライダー25分と待ち時間が出る。

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 新世界のケーブルTVだということはわかった。しかし、それと自分の正体が知られることにどんな関係があるというのか。
 そのうちに画面が切り替わって「しんせかいこんにちは」というタイトルが現れ、すぐに曾根崎キッドのきらいな、吉本の最近とんと見ない芸人と、通販のCMに出てくるような、化粧の濃い、胸だけが取り柄のようなおんなが出てきた。
 「いやーしかしすごいですね。またまたリクエストが100クリック超えました」「今回は別角度の映像があるんですよね」「そうなんですよ。迫力が全然違いますからね。それでは、早速ね、放映したいと思います。昨日からするともう7回目のへヴィー・ローテーションになります。で・も・今回は別角度の新映像でお送りします。キッド・タッグvs安本bros.!!!!」
 「キッド・タッグ?」いやな予感がした。
 
 おじいさんがスキン・ヘッドに吊るし上げられているところをおじいさんの斜めうしろのアングルから撮った映像で始まり、それは曾根崎キッドがまだ鯖の骨しゃぶっていたときのスキン・ヘッドの発言も記録されていた。ガラスが割れる音がした。
 「こるぁ、すんませんで済むんやったらけーさつもソニー損保もいらんのじゃ、新世界キッドやいうからこっちも気合い入っれて来たらおじいやないけ。この安本兄弟をナメとったら、寿命ちちむでぇ。まあ、今日はちょいと縮んでもらわなあかんのかなあ。あかんかもしらんなぁ。あかんやろなぁ。あかんなぁ。あかん可能性がたかい。いやあかんのよ。あかんというのが妥当。あかんにちがいない。あかんことを確信してる。もーぜったいあかんじゃなきやいやん。こるぁぁぁ、止めんかい、ぼけぇ。どこまで言わすねん、あほぉぉ。おれはなぁ、ロンリ的な人間なんじゃぁ、ロリ的ちゃうぞぉ、ロンリやぞぉぉ」
 「すんまへん。わし、そんななんやらキッドとちゃいまんねん。そこのコーヒー屋の主人でんねん。ロリかロンリが知らんけどにぃちゃんそれなんか勘違いですわ」
 「じゃかぁしぃ、ねたは割れとんねん。お前とピーーがつるんでわしらのピーーをピーーするつもりっちゅう情報はいってきとんねん。あのな、いまマンションではふつうのピーーよりピーーが高なってしもてんねん。ピーーのせいでなぁ。」ケーブルTVはプライバシーには配慮しているらしい。
 その時画面の右上に異形の人物が見えた。          (つづく)

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2018年02月20日

奈良で

奈良で、というのはちょっと違うかな?天理で、というのもまた違って櫟本という名阪天理インター降りたとこというのがmy root pointなんだけど、久しぶりに大和路快速で行く。

大和路快速なあ、、。紀州路快速というのもある。

久宝寺を過ぎたあたりから河内色(楠木正成色)が風景にも顕になり、それがしばらく経つと飛鳥ちょっと掠って斑鳩色(太子・太子とウザいのね)強調となり、あ〜あなのだが、しばらく我慢してると新装なったJR奈良駅に到着する。そこからローカル線(まほろばなんちゃら線)に乗り換え、京終、帯解、さてどう読む?な駅名が続き、ママの母校を右に見て櫟本駅に着く。櫟本も「どー読む?」に加えてもいいけど。

もうほんとに久方振りなのであって、少しぐらいは変わっているかな?とは思ってたのだが、変わっていないというわけでもなかったが、いや〜変わっとらんよというにやぶさかではなかった。路の狭さとか曲がり方とか。なんというか、旧い街だなあ、やっぱり。旧いというのはメンタルも含め。

うちの並びのママの同級生に挨拶をして同い年の息子と世間話をして、墓参りをしてきた。花は持って行ってなかったが、何故か路に薔薇が落ちていたから、カタチだけ。まあさ、ハートの問題ということで。

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最近はだーれも参っとらんな。

和爾下神社でタバコを吸って、バスで奈良まで。460円てなんなん?もうとにかく外国人多すぎであるね。東向きだけじゃなく西向き・奈良町まで進出して来てる。多勢に無勢だね。しかし彼ら、家族で仲ええな。ちょっとこっちが恥ずかしくなるぐらいの。感覚の違いね。おれたちの方が異端という気もする。「恥」の文化。

猿沢池でケバブとビールを。ちょっと食い足りんな、ということでサイゼリヤに寄る。タバコも吸える。安ワインはある。コーヒーもある。だが、サイゼリヤももう直ぐオール禁煙になるという。分煙でいいじゃん。サイゼリヤの客がそう煩いこと言わんよ。いや、マヂで。

奈良は近鉄でばかり行っていたが、奈良だけならいいが、そこから先となるとJRもいいかもしらんな。ちょっといいことも思いついたし。


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寺山とお袋の「伝説」のガード下。












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曽根崎キッドの日々 20


「しつれいします」おんなの声で我にかえった曾根崎キッドは、窓はそのままに障子の所まで行って「はい」と返事をした。
「お茶を持ってあがりました」さゆりだった。
 障子を開けると、さゆりは正座して、玄関の時と同じく三つ指ついて頭が床につきそうだった。
「入ってもよろしいですか」「どうぞどうぞ」
 さゆりは急須の蓋を開け、ポットからお湯を注ぎ、「しばらくおまちくださいね」と言った。もう夕方だった。
 ひと呼吸置いてさゆりが口を開く。
「曾根崎・・キッド・・さん・・です・・ね」
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 部下Bはおんなを迎えにマンションの入り口に立っていた。あの映像はケーブルTVでマンション群全部に流され、24倍の倍率で30代のIT企業の幹部によっておんなは35万で競り落とされた。朝までコースのはずたったが、幹部に急な仕事が入り、出るからおんなを迎えにきてくれ、と連絡があった。おんなを送ってから5時間ほど経っていた。しかし今日はビデオカメラが回っているとは言え、あんないい半玉をヤれたのは久しぶりでいま思い出しても股間が疼く。時間より早くあがるおんなを迎える。部下Bは携帯を取り出した。「もしもし、ゆうさん?特別室どれか空いてない?」

 さゆりにそう言われて曾根崎キッドはアセった。「曾根崎キッドさんですよね」
 キッド「さん」にも違和感があったが、さゆりが知っているということはあのおんなも知っているということで、その背後がいまだに見えないが、自分を知っているのは、さつきと新世界キッドのおじいさんとウタマロちゃんだけのはずだ。この3人が裏でここのあのおんなと繋がっているとはにわかには信じられなかったが、それこそよそ者の思い込みかもしれないわけで、曾根崎キッドはそうすることが安易に結論を早める予感があったけども、思い切ってさゆりに尋ねた。
 「どうしてその名前を?」
 「え。だって昨日からもう有名ですよ。知りたいですか」「知りたい」「ゆうさんには内緒ですよ」「ゆうさんってひょっとして・・・」「あら、名前しらなかったんですか」
 さゆりはTVのリモコンを手にして「いいですか」と言いながらスイッチを押した。民放と民放の間の使っていないチャンネルに合わせた。見たような風景だった。   (つづく)

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2018年02月19日

ムシたちそろそろスタンバイのスタンバイ

二十四節気で言うと本日は「雨水(うすい)」。『陽気地上に発し、雪氷とけて雨水となれば也』。

そしてその後は「待ってました!」【啓蟄】である。

『陽気地中にうごき、ちぢまる虫、穴をひらき出れば也』

O Meu Annversarioとも言うんだが。

まあしかし今年はちょっと特別ではあるんだね、これが。O 60 oであるからなのね。

不思議な気がするね。おそらくおれの同級生(リーマン)たちなら、なんか「キリのいい」ことがあってるはずなのね。そういうのがないから、おれのばやい、何かが一区切りということも特になく、しかもあんまり自覚もない。いいのか悪いのかよくわかんないのね。

アンチ・スペシャリストとしてジタバタし続ける、しかないんだね。もう運命と受け入れるしかない。地味に働きつつ、Life Workをこれもまた地味につづけていく。ただそれだけ。いたってシンプルだなあ。ま、いいんだが。

まあおそらくだけど、どういった境遇にいる人でも「なんとなく」先のことは見えないでしょ。そしておそらく、こちらの国は資本主義のデッド・エンド(もう眼と鼻の先)に向かって終末時計の残り2分、そんなことなんだけどね、そこはもうみんなで「見ないことにしよう」そんなコンセンサス出来上がったみたいな。ほんとどうなっちゃうのよ!と叫んでも、反応なし。

ねえ、こどものキミたち、オトナたちはキミらの将来のことなんて「考えちゃいない」んだぜ。勝手に産んどきながらね。ペットちゃうっちゅうねん、と「叛乱」起こしてもいいぐらいのものだけどね。


もう大概、五輪への興味は終えたんだけど、「アイスダンス」の「今年のテーマ」はラテンであるという。みなさん、ラテンで競技というか踊るというか。クラシックではないことで、どこかしら賑やか、華やか、ノリ、そんなことである。官能的?そうとも言える。

さてもう数日で「春の兆候」は明らかになる。もうコートの重さは流石に飽きた。今年は寒い冬だった。おのれのAnniversarioを意識するようになってくるとPrimaveraはそこに。毎年こんなことだった。
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最後の興味、コストナーちゃん。





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曽根崎キッドの日々 19

 その家は奥行きがかなりあって、しかし、曾根崎キッドはあがってすぐの階段をおんなの後について上った。一番最後に見た時に思った、印象を再確認した。おんなの後ろ姿は、その無表情とは違って躍動感があった。形のいいふくらはぎに筋肉が透けて見え、なにかある一時期集中的にスポーツをやっていたことを窺わせた。
 「ここを使って」二階の一番奥の部屋の障子を開けておんながいった。四畳半のあっさりした部屋だが床の間があり、インドの仏をモチーフにした掛け軸が掛かっていた。ちゃぶ台を久しぶりに見た。置かれてあった薄い座布団におさまり、その前に正座して座ったおんなと目が合う。
 曾根崎キッドは目を逸らした。「何か要るものがあれば、あたしか、下のさゆりに言って。お腹は?」「いや、だいじょうぶ」「お寿司ぐらいならとれるわよ」おんなは立ち上がり部屋を出ていきしなに、「あ、スニーカーありがとう。使ってるわ」と言った。
 曾根崎キッドはおんなの足が26cmだったことを思い出した。もやっとした違和感があった。
 
 おんなが行ってしまってから部屋の建て付けの悪い窓を開けてみた。川が流れ、堤防があり、そしてその向こうには巨大なマンション群がそびえ立っていた。一番下、と思われるフロアでさえ、通常のビルの5・6階に相当する高さにあった。そこから地面までは傾斜のついた巨大すべり台のような土台で壁だ。震度6強の直下型地震でも大丈夫といううたい文句だった。そういえばこの下には上町断層があった。  
 
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 曾根崎キッドは頭の中でそのマンションたちを崩してみた。巨大地震を当てはめてみた。
 強度を誇るとされるマンションのその土台があっけなく陥没し、下の階から順に柔らかなムースになって潰れていくのだった。そのマンションの乱立する地区は荒野になり、砂煙があがり、こちらの色街の人々が見つめつづけているうちに砂煙が解消し、そこに現れたのは呆然と立ち尽くす裸の男女の群れだった。色街の人々は服は着ている。しかし、誰からともなく服を脱ぎだし、それを丸め、川の向こう岸に向かって投げ出した。呆然と立っていた向こうの人々は先を争いながらそれを拾いにかかる。こちらからはさらに多くの服が投げられるがまだ足りない。人々はその服を奪い合い、おとなが子供を殴り、少年が老人を蹴り、おとこがおんなを踏みつけていた。そのうちこちらの人々は全員裸になり、もう投げるものがなくなり、目に涙を溜め向こう岸をただ見つめていた。向こうからはまだ服を手に入れられないひとびとからの罵声が響き渡っている。そのうちにまだ服を手に入れる事のできない人々が、川に飛び込み始めた。何人もの人がヘドロに足を取られ、身動き取れなくなり、力尽きながら沈んでいった。辺りを見回すと、高い建物がなくなり、視界が開けていた。ただ通天閣だけが誇り高く屹立していた。

(つづく)

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2018年02月18日

managing time

お天気を教えて、そのまま難波の夕方に消えたかったのだが、tutorが待っていてそれは叶わず、ケータイ、ipadとも充電に難ありだったこともあって一旦帰宅。まだ夕方になると寒いね。tutor宅で懇談後、帰ってメシ。

そうこうしてるうちにfemale 500mが始まる。小平さん、カッコよかったねえ。昨日の羽生くんといい、「絶対の」自信というのは宗教家なれると思う。おのれを信じきれるというのはそういうことではないのか。宇野くんも「変で」これもまた面白い。なかなかこちらの国の「decadance」興味深いと思うな。さらに「研究意欲」掻き立てるだろうな。

五輪進行しているが、もう大方興味は満たされた。スロープスタイルとカーリングかな、面白かったのは。エアリアルは凄さが当たり前すぎてね。スロープスタイルのフリーというのは面白い。序盤中盤ときて最後のジャンプ三連発。

しかしnhkのアナウンサー、バカすぎて呆れていた。「獣みたいな滑りでしたね」だって。獣がスケート履くか。非常に浅薄で、取って付けたような情報でオリンピックチャンピオンのそばまで行くなよな。

小平ちゃんのあの眼は「ヤバい『人間の』眼」なのよ。競技中の30秒あまりの「時間限定」で「ヤバいひと」になれる小平ちゃんが凄いのね。ああいう「澄んだ世界」に30秒あまりだけれども存在できることが優秀なアスリートということなのだね。そこでは時間は30数秒間ながら無限や永遠と繋がってるんだと思う。自在に伸び縮みする時間。幸せだろうね。おのれのなかの密度をマネージすることで時間は伸び縮みする。誰にだってそういう才はある。忘れがちだけども。その無限に限りなく近づいた後にゴールとともに現実に戻ってきて「はい、アナタ、36.94秒」でしたよ、ということね。ありきたりながら「超濃密」な体験だろう。

アスリートだけではなくミュージシャンにもそれはある。それどころか「どんな人にも」それはある。回復したいものだね。







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曽根崎キッドの日々 18

 曾根崎キッドは今夜の宿が必要だった。スパ・ワールドにはしばらく行けない。ジャンジャン横丁をどんどん南下していった。南下するにつれてどんどん街はシブくなってくる。おっちゃんらの数が増え、その様子も限りなく自堕落になっていく。左手に空間が開けた場所へとやってきた。大きな門の跡があり、そこはかつて意味をもった場所であることはすぐにわかった。曾根崎キッドは吸い込まれるようにその中へ入っていった。そこは過去に、というより今も意味を持つ場所だった。曾根崎キッドは、後からクラクションを鳴らされ、路の端へと移動した。ミニバンに4人の男子が乗り物色していた。屋号を表す看板が一列に並び、桃色の灯りが灯りだしたその一帯は夢の街だった。曾根崎キッドも似たような所に住んではいたが、その規模は段違いだった。ミニバンの中からは牡の体臭が外へと溢れ出ていた気がした。
 「にいちゃん、にいちゃん」おばちゃんが曾根崎キッドに声をかける。「一万円でええから」若いオンナが座っている。何軒かの前を通るうちにあるおばちゃんからは腕を掴まれたりもしながら、曾根崎キッドはその街を歩き続けた。そのうちに過去の、そこで働くオンナたちの悲惨な境遇に関する逸話を思い出したりもしたが、その街を歩き続けることは官能的だった。多分に桃色の灯りといかにも遊郭然としたそれぞれの家にやられているだけであったとしても。曾根崎キッドはエキゾティズムの虜になっていた。
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 その街のはずれまでやってきてもう引き返そうと思った時、おんながひとり玄関から出てきた。曾根崎キッドは息をのんだ。あのおんなだった。
 おんなは身体に張り付くような黄色のミニのワンピースを着ていた。一瞬驚いたような顔をしたがすぐに無表情になり、そして曾根崎キッドに手を差し伸べた。曾根崎キッドは迷った。
 「寝る所がないんでしょ」おんなが無表情のまま、口を開いた。「はなれが空いてるわ」
 おんなが、曾根崎キッドはもう気づいてしまったことをわかっているか、それはわからなかった。朝、太陽の残像の中から現れたのはこのおんなだった。ここから先は今までとは比べものにならない危険が待っている予感がしてきた。しかし、曾根崎キッドはおんなの誘いに乗ってみることにした。トドムンドのマスターがよく使うことわざに「虎穴に入らずんば虎児を得ず」というのがあった。
 おんなに手をつながれて、中へと入った。そこには、他所ではやり手ばばあの場所に若いおんなが座っていた。白いソックスを履き、三つ指をついて「いらっしゃいませ」と言った。こんなタイプの若いおんなってまだいたのか?と曾根崎キッドは思った。(つづく)

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2018年02月17日

曽根崎キッドの日々 17

 さつきと別れて曾根崎キッドは新世界へと戻った。連絡は「新世界キッドの店・ミファソ」で取ることにし、お互いがいなければ、伝言で、ということになった。曾根崎キッドの所持金が少なくなっていた。さつきに借りてもよかったのだが、なんとかなる気がしたから、それは言わずにいた。資金稼ぎだ。新しいめのパチンコ屋へ行くことにした。結構混んでいたが、よさそうな台があった。座ると右側に何か圧迫感を感じた。ちら、と見ると、完全にやくざだった。足をがっと開いているから曾根崎キッドは身体を斜にし、顔を左に向けて打ち出した。早くも大当たりがきた。新しい店はBGMがJポップで最低だから長くいる気がしないのだが、大当たりの球数が多いから本日は短期決戦で早めに切り上げる気でいた。いつものようにタバコをふかしながら打つ。2度目の大当たりもすぐにやってきた。快調だ。大当たりが終わってまた打ちながら片手でタバコに火をつける。「ちっ、ちっ」という音に気づいた。パチンコ屋はノイズの洪水現場みたいな所だから、にわかにはその音の方向がわからないが、耳を澄ますとそれは曾根崎キッドの右斜め後方から聞こえてくるのだった。そこには足をがっと開いたやくざが打っているはずだった。ちらっと振り返ってみた。座った目がそこにあった。その目は曾根崎キッドの目が、視線のターゲットとして10分前からそこに来るはずだったかのような周到さで固定されていた。
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 曾根崎キッドは一瞬たじろぎ、自分はこの男に何か悪いことをしたか、とあらゆる角度から検証してみたが何も思い浮かばず、そして視線を戻したのだった。その時、
 「おい」曾根崎キッドは振り返った。「おい、フクリュウエンて知ってるか」
 「は?」「フクリュウエンや。フクリュウエンはカラダにわるいねん、知ってるか」
「はあ?」「フクリュウエンや。お前が吸うてるそのタバコから出るフクリュウエンが、さっきからずうっとわしんとこに流れてきとんねん。お前、知ってんのか、副流煙がチョクでおまえが吸うてる煙より、一酸化炭素で4倍以上、ニコチン2倍、アンモニアにいたっては50倍やぞ。そんなことすんの犯罪やぞ」
 犯罪やぞって、ほかの犯罪しょっちゅうやってるようなおっさんに言われたないわ、と曾根崎キッドは思ったが、「すんません」と謝って火を消した。不条理に近いものを感じたが、ここはもめるとこじゃないと思ったし、この球の量なら1万5千円ぐらいはありそうだったし、両替することにした。(つづく)

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2018年02月16日

historia

ちょっとまとめなあかんな。60 o Anniversarioを前に、ということで思い出していた、過去のことを。

いろいろあって記憶を辿るのもけっこう大変なのだが、おそらくまだ思い出されてないものもあるが、取り敢えず出た。

この「出た」という感覚、今となっては何十年も前の話、もあったりして、その「責任」を取れ、と言われたとしても「時効でしょ、もはや」で返せるけど、それは喩えて言うなら地層から「かつての野グソ」が見つかってDNA調べたらおれのだった、うわ〜、みたいなこととはちょっと異なり、そこで「した記憶」はあるんだけどどれくらいの「硬さ(あるいは柔らかさ)」とかまではとっても記憶にはないんですけど、とかの方がまだ近い。そんな感じ。

ギターも歌も、決して他人ではないが、おれでもなくもないが今やったらそれやるかなあ?そんな感じ。

録音/シリーズでやってたライヴです。


Series Live : Fake Performance Unlimited/光合成の季節/脱国境の夜/Rafflesian Complex/Host Live at Sun Hall/Watch the Music/Sentimientoの実り

Records : 
No Significant Difference(AD-IF)/ルベエレ品新
Lunatic Evening(Jobless)/ルベエレ品新
最前線物語(AD-IF)/ルベエレ品新
Super Box(AD-IF)/Box Record Omnibus
De La Siesta(AD-IF)/Forus Record
Turn to the pop 2(AD-IF)/Switch Corporation Omnibus
東京ラテン宣言(Sonna Banana)/Apolon
Let's Spin(Parabora Spins)/Rafflesia
Convenience Store Cowboys(CVS Cowboys)/Rafflesia

Book&CD :
つかの間のiyashi(マルタニカズ)/文芸社

Produce :
Part Time Punks(すっぽんぽん'ズ)/Rafflesia


いやもっとあるで、なんか忘れてるで。まあ今夜にでも酒飲みながら思い出そう。








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曽根崎キッドの日々 16

白のボルボ自体が珍しく、曾根崎キッドは自分が白のボルボ・セダンを見たとき、これだと思い込んだことが、間違いのもとだったことを、おんなの白いボルボ・ワゴンに乗りこんだ時に少々悔やんだ。トドムンドの社長はクルマ好きだから、ボルボといえばワゴンがほとんどであることをいちいち説明しなかったのだろう。曾根崎キッドはチャリンコおよび徒歩のひとであったから、クルマはセダンだと思ってしまっていたのだ。

「トドムンドの社長とは?」
「昔のオトコ。あたしが捨てたのよ。あのひとに訊けば自分が捨てたって言うでしょうけど」
 曾根崎キッドは3人目の知り合いができた。名前は吉沢さつき。
「ねえ、キッド。チャイでも飲んでいこうよ」
「だばこの自動販売機のところで止めて」
 
さつきはボルボを左に寄せ、その角まがったとこの店だから、と言ってクルマを出した。曾根崎キッドが角を曲がると、店の駐車場に白のボルボ・ワゴンは停まっていた。店に入った。中近東ぽい壁の塗り方で土で作った家を模してインド風のデコレーションがされていた。奥の大きいテーブルにさつきは座って店の人だろうか、親しげに話をしていた。曾根崎キッドが向かいに座ると「こちら、曾根崎キッド」とさつきが彼に紹介する。「えっ、キッド?」「ここのマスターのウタマロさん」「・・・・・・本名ではないよね、もちろん」「て、いうか、あなたも全然ちがうよね」「ミファソのマスターの・・・?」「いや、関係ないわよ、たまたまみたい。ただし、ゆうべは一緒に少しだけアバれたみたいよ」「あのマスターがどうかしましたか」彼とさつきは顔を見合わせにっこり笑った。曾根崎キッドは「?」だったが、様子をみることにしていると、さつきが口を開いた。「あの人は新世界キッドなのよ」(つづく)


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2018年02月15日

あの眼

昨日帰ってきて店に行くまでの間TVを付けたらfemale 1000mがリアルタイムでオランダの子がオリンピック・レコードを出し、その後高木美帆、小平奈緒という順だった。高木さんも素晴らしかったが小平さんのアップの滑りに痺れた。野生動物のようなあの眼に痺れた。「カッコイイ」はスノボだけでなくていいのでは。

冬季五輪というのは、なんだろう?亜種のエキゾチズムなのかな、などと思ったりする。意識をしたのは1972札幌五輪。笠谷幸生のノーマルヒルでの金メダルに心湧いたのを覚えている。

その後、その4年前のグルノーブル五輪の存在に「気づき」、それからクロード・ルルーシュの「13 jours」も知った。フランシスレイの白い恋人たちは当時、おれには甘すぎたが(子どもゆえ)、後から聴くとFrench sentimientoだな、と気づく。sentimientoはressentiment(ルサンチマン)であるが。だはは。

そこからピエール・バルーも知ることになり、、、、、、、。

そういえば札幌のトワエモアのあの曲も良かったね。やはり、白銀のイメージは外し難く、そこには「熱さ」は微塵もないが、まあそれに当時あるいは今の若いねーちゃんが「オシャレ」の匂いを感じても罪にはならんだろうと思う。80sにはそんな「傾向」見えてた。しかし、当時はまだ全世界が70sだったわけで、そりゃいろいろ不具合もあったろうがいい時代だったことは間違いなかろうと思う。

札幌の頃はすべての競技が「ヨーロッパの」ものだった。その前にはキリーなんてスーパースターもいたと記憶する。

長野で相撲レスラーが出てきた時は、なんかなあだったが。自分の原イメージと違いすぎただけで。まあいい。

なんか、冬季の競技の浸透はサッカーとかの浸透と似てるかな。競技の広がりはいいことだが、やはりフィギュアのペアとかではロシアも含めたヨーロッパのもののようだ。「culture」などという言葉もそこでは関係がある。それは最後のヨーロッパの矜持という気もする。

おれはナショナリストでもないから、気楽に競技観戦を楽しんでいる。「すごいね〜」とか言いつつ。

すごいね〜、のひとつが小平さんの「あの眼」で、ほんと「カッコイイ」と思って、おれのセントロ ジ コラサォンに命中したのね。







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曽根崎キッドの日々 15

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「と、いうことは、曾根崎キッド?あなた」
 突然、おんながそういいだすから、曾根崎キッドはびっくり仰天してしまったのだ。話もしていないおんなからそんなこと言われたら誰だって驚く。今まではオナニー見られた中学生だったが、そんなことは一瞬にして忘れ、スに戻った曾根崎キッドはおこづかいを上げてもらう理由をママに理路整然と述べる灘中の生徒のようにクールな顔に戻っておんなに尋ねる。
  「その、と、いうことはの部分、差し障りがなけりゃ教えてくれないかな」言葉遣いまで賢そうな曾根崎キッドだった。
  「あはは、ごめんなさい、ごめんなさい。あなたのこと、トドムンドの社長にもう一度確認したのよ。ルックスとかね。そしたら社長、どうでもいいことばっかり言って肝心なことちっとも教えてくれなかったのよ。あいつは女も好きだけど男も好きだとか、突然別人化するとか、じらすセックスが好きとか、犬よりも猫が好きとか、こっちは人捜ししてるのにそんな話しかしないからあたし電話口で怒鳴ったのよ。そしたら、相変わらず怒ると可愛いな、なんていうから、その怒った声を久しぶりに聞きたかってん、とかいうでしょう。でもあたしも思い出したのよ。あの人ってヒトが真剣になればなるほど自分はふざけていかないと、場のバランスが取れん、なんてよく言ってたし、なんでもかんでもセックスがらみの話にするんだけど、その時はそれで妙に納得させられちゃうというか、ね。でもただひとつだけあなたに関してちゃんと、まあ、ちゃんとといっても、それが普通人捜しに役に立つとは思えないんだけど、ただ今は役に立っちゃったんだけど、社長が教えてくれたのはね、曾根崎キッドは何かに夢中になってる時はホンマのあほみたい、に見える。あ、これはあたしが言ったんじゃありませんからね。トドムンドの社長セッドね。」
 あいたたた、と曾根崎キッドは思った。蝉の交尾に熱中していた時、初対面の人間が一目でそれとわかる「あほ」だったとは。それにしてもトドムンドの社長のセックスねた好きはあるいみビョーキかもしらんなあ、と思うとこもある。ズブロッカ飲みすぎでへろへろになって半寝の状態のときでも、だれかがエロねたをふった瞬間、目ギンギンになって、さらに深いエロねたの嵐になっていく。とても1分前に口開けて寝てた人間と同一とは思えないし、あのおっさんにとっては世界の構図はすべてセックスで説明できるような気がする。ナガイの前にいた厨房のクミコの性格を「あいつはコレやから」と二本指の逆Vでおまんこ開くしぐさなんて、自己顕示欲の説明としてはこれ以上わかりやすいものはないな、と不覚にも感心した覚えもある。あのひとの、世の中をすべてセックスがらみのメタファーで表現してしまおう、という試み(いいように言えば)は慣れてないと客にもよくヒカレてるけど、それがセクハラにならないのはある種の才能かな、とも思う。
 「それとミファソのマスターにも聞いたのよ」
 「ミファソ?て?」
 「あなたが昨日一緒に暴れたおじいさん」
 「あぁ、ミファソって店かなんかの・・・?」
 「新世界の喫茶店よ」
 ミファソてぇ、それ、普通ドレミやろ、と曾根崎キッドは考えたが、まあ、なんでミファソかはまたおいおいおじいさんに聞くことにして。
 「と、いうことは、あなたが白いボルボの?」
 「そう。やっと会えたわね」
 「よかった」
 「だって、あなた、約束守らないんだもの」
 曾根崎キッドは昨日までにあったことを、分かってる限りおんなに話した。(つづく)

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2018年02月14日

曽根崎キッドの日々 14

「よし。では始めるで」
部下Bはカメラの三脚を用意した。すべてが整うとおんなは鏡を背に立つように言われた。部下Aはカメラを見、部下Bに合図をした後、ひと呼吸おいて、うやうやしくマタドールの一礼をし、おんなの前に立った。一本鞭を右手に持ち、左上に振り上げ一気に振り下ろした。おんなのワンピースが斜めに裂けた。そしてさらに数回鞭をクロスさせた。ワンピースはいくつかの布切れとなりおんなの足元に落ちた。おんなは震えていた。その震えがいい、と部下Aは思う。もっと震えろ。おんなはブラジャーをつけていなかった。腕を組んで胸を隠していた。腕をほどくようにあごで合図をすると、形の良すぎる胸が露になった。おんなは向こうを向くよう指示され、従った。カメラがおんなの後方45度くらいに移動する。おんなはまた胸を隠した。自分の姿を真正面から見ることになる。部下Aは鞭を左上に振り上げ固定した。おんなの顔に緊張が走った。手首だけを使って二度左右に振り下ろした。おんなの下着が床に落ちる。カメラはおんなの尻を上からナメた。その肉感を充分に記録した後、鏡にフォーカスを当てズームしていく。おんなの股間を写す。ペニスがあった。おんなはシーメールだった。最後に顔を鏡越しにズームする。恥と恍惚の入り混じった表情だった。部下Bは満足するとともに次の撮影に思いを馳せ、股間が充血してくるのを自覚した。

社長と呼ばれるおかまの男は、満足そうにDVDを眺めていた。「ほんま、ええ玉見つけてきたね。グッジョブ。それにあんたも今回がんばったな」
そう言われた部下Bは喜んでいいのか、喜ぶとまたあほなこと口走りそうで、あの脳天の痛みは忘れられないし、複雑な顔をして「はあ」と応えた。
「いや3回もようがんばったやん。これ3時間ぐらいのあいだなんやろ?」おかまの男は射精回数のことを言っているのだった。確かに部下Bはおんなの顔・胸・尻にそれぞれが一度目のような量をかけていた。
「それにこないだみたいに中に出してへんしな」
「客より先に中出ししてどーすんのよ」と一度目の撮影のDVDを得意そうに見せた時に怒られたのだった。
「このコが売れっ子になったらあんたにもボーナスあげるわ。2人でしっかり仕込むのよ〜ん。あんたちょっとこっちへ来てごらん」
部下Bは顔がひきつったが、こわごわ言われるままに、おかまの男のそばまで行った。
「頼んだわよ、期待してるからね〜ん」
そう言うと部下Bを顔を持って巨大な自分の胸に強い力で押し付けた。部下Bはつま先立ちになり、顔が半分ほどおかまの男の胸の中に埋まっていた。部下Aはにやにやしながらそれを見ていたが、部下Bのつま先に力がなくなりかけたところでおかまの男が部下Bを放してやると、まじめな顔でこういった。
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「イラマチオやられる感じに近いんちゃうか、それ」
部下Bはぜいぜいいいながら「そうっすね」というのが精一杯だった。それを見ておかまの男と部下Aは大笑いをした。(つづく)

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2018年02月13日

2/14はペキーノ・アニヴェルサリオ。

かつて太平洋戦争時に、アメリカの日系人が収容所に入れられた理由と相似形なことを「sleeper cell」なんちって。

関東大震災(1923)で実際に前科あるからね。

今日の予算委見てて「分断」を煽っているのはPMだな、やっぱり、そんな感想。

似てるかどうか?スパイ天国と言われるこちらの国だけど、もう冷戦の時代ではないから、それでもまた異なった目的で諜報員(spy)はいるだろうね。その多くはfrom USA、早い話ciaの皆様。

なんかUSAに本格的に逆らったらインフラを止める、そんなvirusを仕込んでいる、と言ってたのはスノーデンくんだったね。覚えてる?

本質から目を逸らさせる言説多いね。それが自己増殖して、それに飛びつく人たちがいて、彼らにとっては、垣間見える本質を「忘れさせてくれる」そういう機能を持ってて、だけどその場って「微温的」なんだろうとおれには思えるね。同じような意見の人たちに囲まれるって。1人になったら大方ヘタレの彼らのことだから。


高梨沙羅ちゃん、肩の荷が下りて良かったね。前回が気の毒すぎた。しかし環境が過酷過ぎて公平性が保たれてるのか保たれてないのかようわからんね。環境の変化への調整が、環境と人間力を同値とみなすことに疑問を感じた。傲慢かも、と。ほかにどんな方法があんねん?と訊かれてもにわかには答えられんけど。

寒いのももう終わるのでは。鍋も食い納めかな、そろそろ。本当に寒かったし、雪がたくさん残ってる地域もあり、ヘリは落ちるわ、波乱の2018すでにその兆しは現実化してきてる。


さて、Todo O Mundoにはグラン周年とプチ周年があり、明日2/14は中津に移転してから9 o Anniversarioです。プチ・の方だからプチらしく可愛く何かしようと思ってる。

祝いに来て〜!






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曽根崎キッドの日々 13

 本坊庭園は池の周囲が遊歩道で所々に休憩のためのベンチがあり、曾根崎キッドは飲みかけの缶ビールを持って大きな蓮の群生している前に腰掛けた。蝉が鳴いていた。みーんみんみんみぃーん。翻訳すると「やらして〜」だが、この鳴き声の切実さからすると「やらしてくでぇ〜」ぐらいだな。しかし、蝉はいつやっているのだろうか。やはり後背位なのだろうか。自分が牡蝉ならば牝蝉の羽根なんかにフェチなのだろうか。それとも羽根をかき分けたりするときにゾクッとくるのだろうか。あの蝉の腹部といわれる部分が前後にぐにぐに動いたりするのって挿入中にはごっつい刺激なんだろうか。しかし、そもそもお互いの生殖器はどこやねん。

 「あの・・・・・」「は・・・・・・・?」
 「ちょっと失礼しても・・・」「あぁ、どうぞ、もちろん」
 つばの広いストローの帽子を被ったおんなが突然話しかけてきた。蝉の交尾に夢中になっていた曾根崎キッドはおかんにオナニー見られたような感覚に陥り、たいへん恥ずかしく情けない思いで猫背だった。曾根崎キッドは端に少しずれ、おんなが座るためのスペースを空けた。
 
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 部下Aは壁一面の鏡の前でポーズを取っていた。闘牛士の服を着、手には一本鞭を持って鏡から視線を移すと鞭を振る。スツールの上に置かれたペットボトルが弾けとんだ。ペットボトルを拾いに歩く。大股で姿勢を正して、片膝をついてペットボトルを拾う。その時ノックの音がした。「どうぞ」
 部下Bがおんなの背中を押しながら入ってきた。「言うた通り、上玉でしょ」部下Bが得意げに話す。おんなは後ろ手に手錠をかけられ部下Bを睨んでいた。部下Aは部下Bに手錠を外すように言い、おんなに向かって「もう、これからは殴ったりせえへん。ただし、おれとこいつの言うことは聞かなあかん。今日はこれからお前を6時間ほど拘束する予定やが、もう少し長いかもしらん。お前にとって楽しいことではないかもしらんが、すべて受け入れたほうが苦痛は和らぐ。目の前の人間を喜ばすことだけを考えろ」
 おんなはしばらく黙って目を伏せていたが、頷いた。水滴が足元に落ちた。

 「よし。では始めるで」  (つづく)
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2018年02月12日

曽根崎キッドの日々 12

on the 4th day :
  
 四天王寺境内は早朝からテキ屋の人々で溢れていた。車が駐車場では収まりきれず、境内の中にまで入ってきていた。バンのテールゲートを開けるとそれがショップに早変わりという露店もあった。ここに住み着いているホームレスたちは自然に場所を空ける。曾根崎キッドはテキ屋の人々の手際のよさに見とれながら朝マックをしていた。老人と会う事になっていた。老人が身軽な足取りでやってきた。
「早いのう、若いの」「早起きは三文の得」「ふっるいのう」「あんたに言われたないっす」「わし、ちょっと知り合いみてくるわ。今日は・・」「一日ここにいます」
「あんたが昨日言うてた、ボルボのねえちゃん、来るかもしらんで」「ほんまにぃ」
  曾根崎キッドはひとりになって、自分拉致の現場へ行ってみた。マックのコーヒーはホットを買ってしまったので、半分ほど飲んだあと、早くもヤル気の太陽が四天王寺の気温を上げつつあったから冷たい缶コーヒーを買った。「いったい何度まで上げるつもり?」と太陽の方をうらめしそうに見た。
 その時、あの場面が頭の中で再現された。それは三つの影だった。二つはかなり大きく、もう一つ真ん中の影はそれに比べると小さかった。太陽の残像の中に真ん中の影が吸い込まれる寸前、おんなの顔が見えたような気がした。知っているおんなだった。

 午前中、曾根崎キッドは何をするでもなく露店のにーちゃん・ねーちゃん・おっちゃん・おばちゃんとたわいもない話をしたり、ビールを飲んだりして過ごしたが、三度ほど老人の姿を見かけた。何をしているのかわからないが、その移動の様子は精力的な印象である。昨日の一件があるから、普通のしじいだとは思わないが、見かけはやっぱりおじいさんなわけで、それが背筋伸ばして大股でとんとん歩く姿はやはり意外な気がする。忙しそうだし、今取り立てて何かを話す必要もない。曾根崎キッドはさきほど露店のおっちゃんが教えてくれた「本坊庭園」を訪れてみることにした。(つづく)
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2018年02月11日

曽根崎キッドの日々 11

 ヅラの黒スーツの背後から忍び寄って、一九の九の先端を指でつまんだ。ヅラの黒スーツは「あれ、どうしたのかな?」という素振りを見せ、右の方を振り返った。そのとき、曾根崎キッドはヅラの黒スーツの頭の動きとは逆方向にその九を摘んだ指を廻した。
 ヅラは見事にずれ、一九の九の先端がヅラの黒スーツの顔に覆いかぶさった。
 「うわっ」とヅラの黒スーツが叫んだ。スキンヘッドが振り返って、事の次第を把握したとき、「・・あにき・・」と言葉にならないような言葉を発した。そのときだった。かかとが地面に着いた老人の身体が、一度すっと沈み、そしてスキンヘッドの腕を奇妙な形で捻りあげながら浮き上がってきた。
 「あいてててて」スキンヘッドの腕は力を失い老人の身体の動きに同調し、引っ張られて前のめりになった。そのとき老人の身体が逆方向に、スキンヘッドに向かって素早く動いた。スキンヘッドの手首だけはその動きについていったが身体は前へ倒れつつあった。矛盾する動きは、より弱い部分を庇う結果となる。スキンヘッドの手首は老人にきめられ、身体の後ろへ、下へと引っ張られ、スキンヘッドの身体は空気の壁に跳ね返されたかのようにバウンドし、体中の関節の力が消え、後ろにもんどりうって倒れた。倒れる際にレジの角で後頭部をしたたか打った。
 
 「けけけ」という高笑いを老人は聞いた。あにきと呼ばれた黒スーツは九をのれんのようにかき分けスキンヘッドが後頭部を押さえ地面でもがき苦しんでいるのを見た。「おのれら・・」黒スーツは老人に向かって近づいた。しかし今、老人は目だけではなく、全身がワイルドだった。黒スーツのストレートを身体を沈めてかわすと、下からあごめがけて掌手のアッパーがきれいに決まり、黒スーツは口から赤い泡を吹きながら一度空中に浮き、どっと倒れた。

 曾根崎キッドは元に戻りつつあった。最後に黒スーツのヅラを取り外し、自分の頭に着け「こんど〜ですっ」と叫ぶと頭を振ってそのヅラを飛ばした。一九のヅラは吹き抜けになっている中央の空間を四階分、きれいな放物線を描いて落ちていき、歩いていた子供連れの家族の目の前に着地した。「ぎょっ」とした顔で父親の男が上を見上げていた。(つづく)

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2018年02月10日

綺麗事で、いい。

オリンピックは「綺麗事の祭典」で良くって、だから「建前」の嵐で良くって、だからそこをホンネという逆風の中、南北の「瞬間芸としても」融和を体現してしまったムンジェインは大したものだと思う。

綺麗事の中では「ウソでもホントに」なってくるかもしれないからね。

大統領が北の2人のNo.2と握手している時に1人だけそっぽ向いていたPMだが、カネ配らないとなるとそんなものだ。孤独。かわいそうな気もしたが、あんまりかわいそうじゃないのね、ホントは。列島のサポーターには支持されるだろう。

今回はAORという一団がいていいね。国を背負ってないひとびと。ドーピングのおかげと言えば「奇妙な話」になるけど。

そろそろ競技にも慣れてきて、スキー・スケートだけでなく、カーリングやスノボ系の競技、面白い。スノボ系の競技では「オシャレ」「カッコイイ」「スタイリッシュ」そんな褒め言葉が解説のヤツから連発される。「綺麗事五輪」にはいいんじゃないか。パラダイムがちょっと変わるね。「トリプルコークフォーティンフォーティ」なんてすごい技もある。コースの自由度が高いのもいいね。こちらの国の子たちもなかなかにスゴい。アクロバティックなもの面白い。元体操部としては。


さて、佐川くん、見捨てられそうである。やっぱきびしいね。確定申告も始まる。

PMは「嫌われてる」ことを自覚している。ただし、「私を支持してない人」がそうであることもわかっている。これからおのれに反対する人間へのあからさまな「イジメ」が本格的に始まると思う。働き方法案がまずその第一弾。

1075万円(年収)以上だけって言ってたのをバイト・非正規まで拡大できるという閣議決定。酷いね。残業代なし。

日銀総裁も続投が決まり、この「地獄をどこまでも」。出口はいらん、ということみたい。どうしたらいいのか、あの人たちもわかんないんだよね。取り敢えず今日を、というのはやってる側・やられてる側にかかわらず、共通のようだ。

そういうとこから見えてくるものは、PMは本気で「戦争で状況を打破」を考えてるんではないか、ということ。南北融和の現場にそっぽ向くのは潜在的にそれ、が頭にあるからではないか、そんな「怖い」想像も。

蓋然性だと思うよ。ズタズタにされてる、今まさに現在進行形のような。










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曽根崎キッドの日々 10

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on the 3rd day:
 月と通天閣が圧倒的な存在感でそこにあった。ジャグジーで泡まみれになりながら、曾根崎キッドはアホみたいな顔でそれを眺めていた。手首はまだひりひりしたが、お湯に浸け続けているとそのうち痛みも忘れた。
 徒労に終わった一日だった。四天王寺には朝と昼からと二度行ってみたが手がかりは掴めなかった。また明日行ってみよう、と曾根崎キッドは思った。明日は市が立つという話だった。おんなも今日は現れず、一昨日からの一連の出来事がどうも現実感が伴わず、だから曾根崎キッドは自分の仕事のことだけを考えようとした。しかし、そうしたところで謎は解けないし、手がかりもなく、よくよく考えると昨日のおんなの名前さえ聞きそびれていたのだった。目の前にそびえ立つ通天閣は、曾根崎キッドにとってこの仕事が困難なフェーズに入ってしまったことを威圧感を伴って象徴しているかのようだった。ただし、パチンコだけは1万5千円勝ったから2日ほどは経済活動なしで仕事に専念できることになる。
 
 済んだことは忘れ、ビールでも飲もうと思い、曾根崎キッドは売店や店舗のエリアへとやってきた。居酒屋へと入り、生ビールと枝豆・冷や奴、そして鯖の塩焼きとポテトサラダと焼き鳥も頼んで、5秒ほどで出てきたビールで喉を直撃する。しゅわしゅわの泡がからからの喉粘膜をこじあける。その後ふうっと
ため息が出た。曾根崎キッドがビールから土佐鶴の生酒へ移行し、鯖の塩焼きのおなかんとこをレモンと、醤油をたっぷりかけた大根おろしで食べていたとき、店の入り口辺りで大きな声がした。ガラスが割れる音もした。曾根崎キッドは気にはなったが、今、鯖の一番旨いとこでもあったし、土佐鶴もまだ1/3ほど残っていたから、そちらに注意は向けながらも、鯖の骨をしゃぶりつづけていた。また大声が聞こえた。はっきりは聞き取れなかったが「・・・・・・・・殺すぞ・・・・・」と聞こえた気がしたから、振り返って身体を斜めに伸ばして入り口を見たのだった。老人が黒のスーツのふたりに向き合っていた。店員の若者が少し離れたところにいた。黒スーツのスキンヘッドの方が老人の胸ぐらを掴んでいた。もうひとりの男はキダタローぐらいの見た瞬間わかるヅラで、しかも一九だった。ヅラならもっと普通の髪型選べよ、と曾根崎キッドは思ったが、それは嗜好の問題。スキンヘッドはかなりガタイが良く、老人は胸ぐら掴まれ、つま先で立っていた。
 老人は、「すんませんでした、すんませんでした」と繰り返していた。店員も一緒に頭を下げていた。老人の目は、しかし、ワイルドだった。曾根崎キッドはいたずら心が湧き上がってくるのを感じた。知らない間に立ち上がってすすすと黒スーツの後ろへと近づいた。そのとき老人と目が合って、その目は何かを言おうとしていたのだが、曾根崎キッドのいたずら心はもう臨界点を超えていた。

 曾根崎キッドの手は後方からヅラの黒スーツの頭部へと伸びた。(つづく)
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2018年02月09日

寒いのもそろそろ

この厳しかった寒さももうええ加減終わるのではないか。今日もまあまあ暖かそうである(外出てないけど)。

この時期のベンチマークは、外メシしたくなるか否か、だ。

大阪8度、東京9度、長崎13度とある。

昨日は北陸の雪でサンダーバードは運休。ざーんねん。「先生、サンダーバード、走ってなかったでしょ」と生徒に言われる。「そやねん」

行きも帰りも普通(途中から快速)で。帰りはいつもの缶酎ハイ・ハイボール持ち込み。いこい経由のTodo O Mundo。さらに痛飲。アタマ痛い。失敗。今水2L目だ。


昨日のムヒカ元ウルグアイ大統領のinterview、感動的だ。存在自体が感動的。こちらの国のpoliticianとかの方が一般的なのだろう。「発展途上国」としては。いまや、格差、などではなく、「class(階級)」が固定してしまった社会。途上国らしい。貧困から中流、そしてまた貧困と階級固定。行って来いだけではなく、帰ってきたら二極化していた。悪い夢が現実になっているのに、おれたちはまだ夢の中にいるみたいだ。覚めるのが(醒めるのが)怖いのだろう。確かに気を紛らせることは豊富にある。でも、いつか酷いことになる、はそろそろ織り込まれてきてる。若いヤツらの目の暗さにそれを感じてる。だから出来るだけ寄り添っていてあげようと思っている。期間限定の付き合いが多いから余計にそう思う。

力になれるのかなれないのかはわからない。だが、できるだけ。

ムヒカさんのクルマはボロのVW。

クリント・イーストウッドはボロのFORDをおのれで運転して撮影しておのれで運転して帰る。そんな人があまりいないのがこちらの国。目立たないんだよね、いるのかもしらんけど。いて欲しいけどね。







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曽根崎キッドの日々 9

 パチンコ用には5千円取っておけばだいじょうぶだろう。おんなに、スニーカーがいいと言うからスニーカーを買って、時計を見ると午後一時だった。
 「きみはおなかすいてないの?」「ビール飲みたい」「ええな」「串カツは?」「ごっつええな」
 おんなはジャンジャン横丁の中へ曾根崎キッドを案内した。何軒か有名な串カツ屋があったのを思い出した。行列の出来ているやや大きい店ではなく、こじんまりした店へと曾根崎キッドは連れて行かれた。24時間ぶりのメシだったから、そして日差しももうかなり強く、汗も出ていたし、一杯目の生ビールは、この世のものとはおもえないぐらい旨かったわけだった。曾根崎キッドは、その店が魚介類に強い店であることを素早く見抜き、ホタテやら、ゲソやらたこやら、サザエやらを食べまくったわけだった。おんなはというとビールを、飲みたいと自分では言ったくせにさほど感じ入ることなく淡々と同じペースで ジョッキを口に運んでいるのだった。

 お腹が落ち着くと、曾根崎キッドは自分の任務を思い出し、しかし、この街には知り合いはひとりもいず、どうすればその白いボルボのおんなと出合えるのか、と考えていた。隣のおんなに話そうか迷ったが、今はそうすべきではないと思った。お腹も一杯になったし、コーヒーでも飲みにいって、それからこのおんなは帰すべきだと、曾根崎キッドは考えた。四天王寺から新世界は目と鼻の先であるから、白いボルボのおんなが新世界に来ないとも限らない。軍資金はパチンコでなんとかなるだろう。あるいは、何度も四天王寺まで行ってみるか。
 焦ったところでどうしようもない。まだ焦る段階でもない。曾根崎キッドは風呂はいってきれいになろうとスパ・ワールドへ行くことにした。「今なら千円」という話だったし、仮眠もできたから。
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 スパ・ワールドへ行くことをおんなに告げるとおんなは、帰る、と言った。曾根崎キッドは、助けてくれたことに礼を言い、まだ本格的に信用するにはいたらないが、この街での唯一の知り合いにまた明日も会ってくれるかということを確認して別れた。おんなの歩く後ろ姿は無表情なその顔とは違って筋肉の躍動感を感じた。(つづく)
posted by 浪速のCAETANO at 05:53| 大阪 | Comment(0) | 曽根崎キッドの日々(作り物・続き物お話) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年02月08日

ホセ・ムヒカ元ウルグアイ大統領 interview

私はもうすぐ81歳になります(1935年5月20日生まれ)。単に観光目的で、長旅をしようなんて思いません。ここに来たのは日本から学びたいと思ったからです。日本でしてみたい質問がたくさんあります。人類はどこに向かっていくのでしょう。世界の将来はどこに向かっていくのでしょう。日本は、世界でも非常に優れた工業先進国です。ですからこそ、そうした質問をしてみたい。どんな世界を夢見ているのか、それを考えずして私たちに未来はないのでは」

−−本には世界中の指導者と会談したエピソードが紹介されていますが、特に印象に残っている会談は

 「私はかなり年齢を経てきました。背負ったリュックのなかにたくさんの思い出が詰まっている。有名な人物とたくさん会ってきたが、1つを選ぶのはとても難しい。

 (しばらくの沈黙の後)

 圧倒的な印象を残しているのは、チェ・ゲバラです。彼はラプラタ川流域に大きな影響を残している人物だと思います。ただ、私が知った人物の中で、最も聡明な人物は、みなさん名前を知らないかもしれませんね。スペインが共和制だった時代の大学の先生です。文化大臣も務められました。すばらしい先生に出会うというのは、弟子の心を永遠に持ち続けることだと思います」

 「フィデル・カストロにも会いました。年は取られていましたが、頭脳は明晰でしたよ。オバマ大統領とは3度会う機会がありました。すばらしい人だという印象を受けました。頭のいい人です。おそらくアメリカ政府よりも大統領のほうが頭がいいでしょう(会場から笑い)。若いときには、毛沢東とも会いましたよ。写真を撮るためにほんの一瞬でしたが」

 〈著者ヘの質問などを挟んで、質疑応答に〉

−−ネクタイを用いない哲学について聞かせてほしい。個人的には世界はネクタイを使わないことでよくなると思っています

 「同感です(笑)。世界を変えるために闘ってきましたけれど、私の目指しているのは、ネクタイを使いたい人は使えばいい、使いたくない人は使わなくていい。そういう世界です。私は個人的には質素な暮らし、抱え込まない人生というのが良いと思っています。でも、同じ考えを誰かに強制したいとは思いません。自由のために戦っていますが、自由というのは他者がしたいことを妨害することではありませんよね」

 「質問に感謝します。ネクタイをしないというのは、ネクタイよりも大切なものがあるということを象徴しています」

−−アメリカとキューバが国交を回復した背景にムヒカさんのご尽力があったと聞いている。どうして両国の間を取り持ったのか

 「私は、オバマ大統領からラウル・カストロ評議会議長宛の小さなメッセージを伝えました。キューバの刑務所に収監されていたアメリカ国籍の囚人の健康状態を、オバマ大統領は非常に心配していると伝えました。当時すでに、秘密裏にではありますが、両国間の交渉は存在していました。交渉中にアメリカの囚人になにかが起こるのはよい状況ではないからです」

 「私たちは常に平和を導くように、物事を解決しなくてはいけない。平和でなければ被害を受けるのは常に弱者だからです。いまだに人類は先史時代を生きていると思います。戦争を完全に放棄することができたら、人類はやっと先史時代から脱却できるのです」

−−リーダーとして最も大切にしていることは?

 「私たちは矛盾をはらむ時代に生きています。多くの富を抱え、科学は発展し、技術も進歩した。そんななかで、私たちが考えなければならない大切な問題は、じゃあ私たちは幸せに生きているのかと言うことです。ひとつの側面ではすばらしい効果がもたらされました。たとえば150年前に比べて私たちの寿命は40年長くなっています。でもその一方で私たちは軍事費を毎分200万ドルも使っています。人類が持つ富の半分は、80人から100人の人が握っている。そういう時代です。つまり、私たちはみんなが生きられるためのリソースは持っている。でも、富の不均衡、あるいは格差をつくった社会的ルールに支配されています。若い人たちには私たちのこうした愚かな間違いを繰り返さないでほしいと思います」

 「命、人生ほど大切なものはありません。世界について考えるときも人生について考えるときも、あるいは貿易について考えるときも仕事について考えるときも、どうやったら幸せになれるのか、ということから考えないといけない。人生が重荷になるような、苦悩に満ちたものになるようなことではいけない。若者たちには、毎朝起きたときに、鳥がさえずりたくなるように、喜びが沸き上がってくるような世界をめざしてほしい」

 「誤解しないでほしいのですが、貧乏になるべきだとか、修道士のような厳格な生活をしなければいけないと言っているわけではありません。私が言いたいのは、富を求めるあまり絶望してはいけないということです。人生にはもっと大切なことがあります。愛情を育むこと、子供を育てること、友人を持つこと、そういう大切なことのためにこそ人生の時間を使ってほしい」

 「そういうことを意識化すること、それを文化とすることがすごく大切なことです。そういう生き方ができるような文化を醸成しなければならない。たとえば自分のエゴを満足させるために他者と競って、他者を破壊するような文化であってはいけない。みんながチームの一員として協力できるような教育を、奪い合うのでなく持っている物の価値を高めていくような教育をすればいい」

 「エゴイズムは競争を助長して、さまざまな科学的発展、技術的進歩をもたらしました、でも危険なぐらい激しい野心もあって、それを実現しようとすればすべてを破壊してしまいます。何度も言いますが、人生より価値のあるものはありません」

 「私たちには戦争を終わらせる義務があると思います。もちろん簡単ではありません。でもこれは世界の若者が達成しなければならない大義です。よりよい世界を目指すことは可能です。試行錯誤も必要でしょう。間違いはありますけれど、それがテロのような行為になってはいけない」

−−ムヒカさんのメッセージのどういう部分が多くの人を惹きつけるのか自己分析を

 「答えてみますが、あっているかどうかはわかりませんよ。私がさまざまな場で提言してきた考え方は、もしかしたら日本で伝統的に引き継がれてきた文化と、根底で通じているのではないでしょうか。日本の良い伝統文化というものが、いま、西洋化された文化によって埋もれて見えなくなってしまっている、そういう状態なんじゃないですか」

−−ウルグアイはマリファナが合法化されているが、見解を

 「私たちが目指したのは、マリファナを管理することです。ドラッグに賛成しているわけではありません。取引が存在して、消費者もいた。闇取引があるという現実は見つめなければならない。それを管理するためのメカニズムをつくり上げました。非合法組織を排除することができました。中毒者の健康問題にも対処できるようにしました。中毒者が目に見えないかたちになっていたら、手をさしのべることはできません。なにより、若者を犯罪集団の手に渡してはいけない。麻薬自体よりも麻薬を取引している集団の方が悪い。中毒からは脱却できても、組織からは抜け出すことはできないのです」

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 〈休憩時間をはさんで、午後から別室で合同インタビューが行われた。長机を挟んで数人の記者と向き合ったムヒカさんは、リラックスした様子。記者1人1人の目を覗きこむようにして会釈する。いきなり質疑応答が始まる〉

−−テロについて。ムヒカさんの考える原因と対策は

 「テロリズムは疫病だと考えている。熱狂と閉鎖性から生まれている。熱狂というのは、スポーツであっても宗教であっても政治であっても同じように危険なものです。健全なナショナリズムというのも存在しますが、度を越すと危険です。なぜ熱狂というのが危険なのか、それは盲目であるからです。信じるものだけが正しいと思い込んでいるからです。熱狂というのはすべての疑問を消し去ってしまう。熱狂は賢さの対極にあります」

 「弾圧を受けた若者たちが熱狂的な行為に走ってしまっている。この現象は増殖を繰り返しています。ヨーロッパでは恐怖が差別を生んでいます。イスラム教徒の人々は仕事を見つけるのに苦労していて、社会も底辺に近い仕事に就かざるを得ない状況にあります。これは恐怖からきていて、差別を受けた人々の中では熱狂が増幅する。深刻な現象です。感情を操作することは非常に難しい。誰もが学ぶべきことですが、違うものに対して寛容であることが大事です」

−−会見で日本人が進んでいるとおっしゃっていましたが、具体的には

 「現在工業先進国で起こっている革命というのは、マンパワーを高い知能を持った機械に入れ替えるということ。テクノロジーはすでに存在しています。月や火星に機械を置いて、遠く離れた地球からそれを操作するというようなことまで可能になっています。私はそうした技術や知識を社会的に役立てていくべきだと思っています。資本主義は、常にコストを下げ、生産性を上げることに力を注いでいます。私たちは厳しい戦いを強いられます。ロボットにはメーデーも定年退職もないですからね(笑)。ロボットは人生に役立つものでなければなれません。人生を阻害するものであってはならない」

−−戦争のない世界というお話がありました。日本には憲法を変えていく動きがありますが、どうお考えですか

 「憲法の解釈を変えるというのは、日本が大きな過ちを犯しているように私には思えます。問題は世界的なものです。一方で武装放棄をする国があって、他方では武装を拡張する国がある。経済的な観点から見ても非常に深刻なことです。世界では、毎分200万ドルの軍事費が費やされています。軍事費を半分に抑えることができたら、そのお金でサハラ砂漠に居住地を作ることだってできるでしょう。人類は素晴らしい事業を行うための資源をたくさん持っているにもかかわらず、それを無駄遣いしている。はっきり言えば、和平というのは素晴らしいビジネスなのです」

−−和平はビジネスですか

 「軍事費として無駄に使われているお金を、貧しい人や水、環境といったさまざまな問題をケアするために使うことができるということです」

−−日本国内にも政治不信の声がある。国民と政治家の関係はどうあるべきか

 「世界全体で政治的な問題が起きています。それは人類が世界的レベルでの決断を下す段階に来ているからです。一国で解決できない問題がたくさんある。ですが、世界全体の合意というものは存在しません。たとえば気候変動の問題ですが、私たちの小さな国ウルグアイでは環境を汚染しないために火力発電所は作らないようにしています。でも中国のような大国が2カ月にひとつ火力発電所をオープンしているようでは、私たちの努力は何の意味もありません。あるいは、日本が環境を汚さないために電気自動車の使用を始めたとしても、インドで化石燃料を使った自動車が使われているようでは何も解決しません」

 「グローバリゼーションというのは金融や通信といった分野で起こったことですが、政治的な面ではグローバル化しているとは言えない状況だと思います。日本だけでは解決できない問題というのがあるのです。たとえば海の汚染。これは日本だけでは解決できませんね。ですから寛大な心というのが必要なんです。そうでなければいつまでたっても私たちは内輪もめするばかりでしょう」

−−ムヒカさんのスピーチは多くの人の心を捉えているが、示唆に富んだ言葉はどこから

 「私がしていることは、考えの種をまくということです。そのなかのいくつかは芽ぶくかもしれない。そうでないかもしれない。価値のある考えというのが道を開いてくれるのです。私の言葉は私のものではなくて、古い時代から言われてきたことばかりです。たとえば、キリスト教にはこんな言葉がありますね。〈幸福な人間は服を着ていなかった〉。この人が熱帯のリゾートに住んでいたというのではないですよ(笑)。人間の幸せは物質的なところには存在しないと伝えてくれているわけですが、そうした考えというのは古い時代から存在しています」

 「歴史と過去は私たちに文明というものを授けてくれます。たとえば紙があってものを書くことができる、写真を撮ったり、病気を治すことができる。それは私たちより前に大きな努力をしてくれた人々のおかげなんです。火が消えないように番をしていた私たちの先祖、そうした人々のおかげなのです」

−−滞在中に京都と広島に行くと聞いていますが、その理由は

 「広島についてはいうまでもないでしょう。世界で起こった最も大きな悲劇の記録がそこにあるからです。人類がいかに残虐なことをできるのか、広島に行くことで見えてくると思います。日本に来て広島を訪れないというのは、日本の人々に対してリスペクトを欠くのではないかと思っています。京都に関しては、私は歴史を愛していますから、訪れざるを得ない。政治が大好きであるのと同じように、歴史に対しても大きな情熱を抱いています」

−−日本はいい国と言っていただけるのはうれしいですが、あなたが批判している「働いて捨て去る国」でもあります

 「それは日本のせいではありません。資本主義の美しき悲劇であります。この言葉は大事です、私は『美しき』『悲劇』といったんですよ。野心と技術の発展によって世界は大きく進歩しました。人類の平均寿命も40年も伸びたわけです。ですが資本主義というのは盲目で、誰もそれを止めることはできません。資本主義という文化の中で、何かを買い続けなければならない状況に陥っている。そうでなければすべてが止まってしまうからです」

 「ギリシアの古い考え方として、ほどほどにという考えがあったはずですが、資本主義は自らを止めることができず、どんどんと消費を続けてしまっているのです。私の小さな国ウルグアイでは、公共福祉の仕事をしている人たちは6時間労働を長い闘争の末に勝ち取りました。ですが彼らが何をしたかというと、空いた時間でもう一つの仕事をするようになったのです。結局8時間働く代わりに12時間働くことになってしまった」

−−日本でも「ワーキングプア」という言葉があって、経済格差が問題になっていますが、どう思いますか。改善策は

 「それも日本だけの問題ではないですね。各国で起きています。なぜなら世界の富は日に日に一点に集中しているからです。格差は日に日に大きくなっています。ビル・ゲイツ氏は1日100万ドル使い続けても、持っているお金を使い切るには220年生きなければならないと言われています。それでも彼は、世界一裕福な人というわけではないんですよ。こうしたことが起こっている一方で、さきほどおっしゃったような状況が生まれている。人類の富には何らかの上限が設けられるべきだと思います、いったい何のためにそれだけの富が必要なのですか」

 〈質問をしないのに突然しゃべりはじめたムヒカさん〉

 「私はウルグアイで、ウルグアイ生まれのタカタさんという日系人と知り合いました。彼は素晴らしいサッカー選手でした。地元のチームのキャプテンを務めていましたが、地元の貧しい子供たちとプレーをするようになりました。私は日本の人々には素晴らしいサッカー選手の素質があると思っています。小さいスペースというものにそもそも慣れていらっしゃる(笑)。ウルグアイは広大なのでピッチのいたるところに穴を開けてしまう(笑)。サッカーというのはボール一つあれば始められるスポーツですので、子供達には最適と言えると思います。グラシアス。グラシアス(ありがとう)」

 〈質疑応答を自ら打ち切るが、退場したりはせず、記者たちの名刺を受け取ったりニコニコと握手に応じたりする。記者も名刺を渡しつつ〉

−−ムヒカさん、幸せに生きるコツはなんですか

 「モチベーション(目的意識)を持つことです」

posted by 浪速のCAETANO at 05:53| 大阪 ☁| Comment(0) | 世界・地球 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする