2018年03月25日

曽根崎キッドの日々 53

 あるとき上のさゆりがきょろきょろしていたら下のさゆりがいなくなった。いなくなったというより、上のさゆりのまわりには何もなかった。真っ白の画用紙で出来た箱の中に閉じ込められたような気がしていろんな方向に進んでみるが進んでも進んでも何も変わらなかった。下のさゆりはどこへ行ってしまったのか? 上のさゆりは考えたけども何もわからず、ではひょっとして上のさゆりが何かに囚われてしまったのではないか・と思うようになった。考えていくうちに上のさゆりは下のさゆりが目覚めてしまったのではないか・という考えに行き着いた。もしそうなら、下のさゆりは起こされ、安本たちによって、あのマンションへと連れて行かれたということだ。上のさゆりは少しアセり、もっといろんな方向へと進んでみたがやっぱり、何も起こらなかった。

 曾根崎キッドはなんだか新世界に来てからもやもやしたものがやっとスッとした。ゆうの足がしなやかでいかにも強靭そうだったことがなんとなく引っ掛かっていたのだ。
「ゆうの両おやが事故で急に死んでもうて、わしが預かることになったんやが、これがわしと合わんねん。何度も家出はするが帰ってきよったんやけどなあ、最後の家出は一ヶ月にもなって、こらもうなんかあった思て、わしも本気で探したら、あんな世界に入ってもうとった。よりによってそっち行くとはなあ」
 曾根崎キッドは、ゆうがさゆりを仕込んだと聞いた。ゆうは、いやゆうすけは「タチ」か・と思った。まあ・自然だ、さゆりとの関係なら。
「もう二年ほど、こんな近いとこにおっても会うてないなぁ」
ゆうが頑にミファソ行きを拒んだ理由だ。
「あっこの社長もややこしいオトコオンナやしな。そやけども、その、さゆりちゃんかいな、その娘をなんとかしやんなあかんいうことやな。」
 新世界キッドになって電話を取った。(つづく)

posted by 浪速のCAETANO at 00:14| 大阪 ☀| Comment(0) | 曽根崎キッドの日々(作り物・続き物お話) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする