2008年09月09日

北向きの部屋で

 パソコンの置いてある部屋は北向きで、南向きのリヴィングとは緯度にして5度ほど体感温度が異なる。うちのボロマンションは築40年ほどになるかと思う。ただ竹中工務店が当時のガッツを込めて作っただけあって、なんだか頑丈で南向きの部屋など保温性が高く、天井も高く、特に学生が来ているときなど冬でもストーヴ類要らん感じのぽっかぽかなのだけど、一方この北向きの部屋は・と言いますと、おせちはこの部屋に置け・というぐらいのまあ真夏は別だが、ひんやり度だ。

 緯度5度の意味は季節の推移にして1ヶ月ほども違うか・という具合だ。だから今は北向きのこの部屋が先行している。人の情緒など体感温度一つでころっと転がるものだからね。

 リチャード・トムプソンやサンディー・デニーやヴァンThe MANを聴きたくなる。平成は・あるいは21世紀初頭は、昭和の・あるいは20世紀中〜後半の「余韻」であることに依存のある方は少ないと思う。前述の彼らの一歩と今のミュージシャンの一歩は無理関数におけるX=1とX=100の導関数ほどの違いがあって、中庸の季節に人はオーセンティックを求めたりするわけで、その際、余韻ではないものをじっくり楽しむべきだったりする。

 彼らに共通のコブシは深い緑の森から出発し、街を巡り、そして森に帰っていく・そんな自己完結的なコブシで、それは狭義のポップ・ミュージックであったことの証しなのだが、民族に伝わる神話・寓話(ケルトもその類いの話は大変多く)をベースにした、たとえばワタリガラスの話であるとか幽閉された姫であるとか戦場を歩く女兵士であるとか縛り首にされる男であるとか、古代〜中世のトラッドと現代に於ける解釈とがないまぜになった今度は広義のポップ・ミュージックとして1960〜70に現れてきた。

 おれはいつも曲を紹介する時に、「悲しい歌なのよ」とよく言っているが、悲しさ・寂しさなんてこの平和ボケ・バカ騒ぎ・お笑い大全盛のニッポンに於いては「忌むべきこと」ぐらいの扱いであるが、そこんとこ、こないだから言っている今日本人が国民的にお忘れになっている「無常観」と「人類」としての根っこで繋がっていると直観しているからなのだ。

 悲しい・寂しいは「負」の感情としてやはり避けられるが、しかし、普段そのようなものを日常的に押し殺し、まあその方が社会生活スムーズだからみたいなことであるが、それでそこら辺の感情タメにタメ、「泣くため」のハリウッド映画でも安い日本のドラマでもいいが、そーいうのを満を持して「はい・どーぞ」とプレゼンされ、「ここ安全や・泣いても」ということで、泣く。

 不自由である。おれたちは精神的障害者である。ビジネスマンであるよりもまず人間である。そこんとこよろしく・だ。人間であることをビジネスマンという着ぐるみで覆う・というのは新自由主義者の手法と言っていいすぎならば分厚いペルソナによるイメージ戦略である。メディアの時代だからしょーがないよ・という意見もあろうが、TVの出演者と気持ちを交わすことはできないが、そこらのおっちゃんとは出来る。そこに値打ちの倒錯がある。みなさんフツーにヘンタイである。自覚・必要かもね。

 キャンプで火の番しながら思ってたことだが、ミタキがちょっけい20cmほどの丸太を拾ってきて、それを燃やしていたのだが、「燃料」ということをものすごく考えてしまったのだ。その中には間違いなくエネルギーが入っていて、その熱で暖かくもあり、食い物も焼ける。燃料は確実にエネルギーとして活用されるべきであって、物質は循環すべきであって、まあ仮にここでおれが心臓マヒで死んだりとかしたら、エネルギーとして野生動物に喰われるか・あるいは燃料として燃やしていただくのが「人類」以前の考え方とするなら正しいな・と思ったわけだった。人類となるとやや異なり、残した人との死人としてのコミュニケーションがあるから、そうもいかんが、でもどっちが正しいのかはちょっと今よくわからんほど「人の現在」は混乱していて、社会的には人は脱・人化へ向かっていると思うから、墓の不必要性を多くのおれよりも年上のヒトが言ってたりすること・それが「混乱」の証拠だと思うが、この自分の体内に蓄えたエネルギーをなんか活用して欲しいと思ったものだった。「それは生きてるうちに活用しなさいよ」という声も聞こえるが、よーっくわかるが、それは日々の循環の中の話であって、それが途切れたときのことを言っているのね。

 結論はそう簡単にはでないのだが、しかし、ひ弱ながら、カルい自然の中に身を置いただけで、日常との倫理的ギャップもすぐに生まれるわけだね。水も汲みにいかなきゃいかんし、火も起こさなきゃいかんしさ。過去の人類に戻るってわけだね。世のひ弱な人々、キャンプに行くといいと思いました。

 
posted by 浪速のCAETANO at 12:11| Comment(0) | TrackBack(0) | あれやこれや | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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