2015年06月09日

平尾くんとその著書

平尾剛くんという元ラグビー日本代表、今は某女子大の講師であるが、
TODO O MUNDOの長年のお客である。もう10年ほどになるかな。

ということは、10年ほどいろんな話をしてきた仲だった。彼と話すときはだいたい「高揚感に溢れる」話になることが多く、お互い熱くなること多し、なのだが、その対象はお互いではなく、双方にとっての「第三者」それは人のこともあるが「事柄」であることがほとんどで、そのことについてそれぞれの立場からああでもないこうでもないとまあバカ店主のほとんど世の中に受け入れられない極論にも耳を傾けてくれる。

その平尾くんが初の著書を出した。今、初と言ったけれど、本人名義の本というのは実は二冊目で、ただ、それは対談集だし(内田樹さんとの)、そんなもん「著書」と言えるのかといった斜視する習慣があり、そんなことから、「初」の著書は今回だな、と思っていた。

読むタイミングが世間とズレて、これよくあるのだけど、日本のそのモノの流れというのは編集者的と言えば編集者に怒られるかもしらんが、今そのタイミングでこれを言うとかんと、というような乗っかり被せる、今よ今、そんなこと多しで、おれの場合、ちょっとオアズケ食らいまして、それもけっこう長いオアズケだったから、でもそれが逆によかったなと思えるのね。

書評、といえるようなものを単に「忘れた」から、それがよかった。予断がなくなってよかった、という意味ね。

文章でも、音楽でもそうだが「ひととなり」である、と思ってる。いや、もう思ってるではなく、ここは確信してる。それは小手先の通用する次元を超える。長い文章を書くと。音楽の場合なら、何曲も書くと。「ひととなり」度はその本人に「限りなく」近づいてくる。その近似値を否定できなくなる。だから、怖いわけである。逆に信用もできる。

まあ、小説ではないからおのれの「えぐいとこ」出す必要はないとは思うが。で、そこを言うとまず、「リアル平尾」がどこを読んでも出てる。しゃべってる時と同じく。そして「クロニクル的」だなとおもった。彼はオノレのスポーツ体験(その中には部活から日本代表・プロ選手まで含まれる)を言語化しようともがいてきた、と解釈している。それはよく考えるなら大変な作業で、それはチョーさんを思い出せばすぐにわかるが「ぐーっと、きたやつをガッと」みたいなことが多い。「ペニスの先っちょで」なんてことも、ね。天才はそれでいいんだろうけど。教えられる側にしてみたら「ありがとうございました」とはいってみたものの「????」みたいな。

だから、その作業というのは、平尾くんがやろうとしていることは多難である。ハナから指導が「上手い方」はいると思う。おそらく、その方はある程度物事を客観視できる立場にいたと思うのだ。つまり、現役時代にはあまり脚光を浴びなかった。その時すでに「指導者」としてのオノレの将来を意識的にか無意識的にか考えていたのだと思う。

平尾くんはどうもそれではなく、おそらくもっと無自覚にラグビーをやってきたのだと思う。スター選手の一人として。こう言うと「それ未満です」と本人は謙遜するかもしれないが。

おれは正直、彼の時代のラグビーは、サッカーばっかり見ててほとんど見ていない。だから誰か人に訊けばいいのだが、そんな面倒なことはしない。店で喋ったことがすべてでいいじゃんと思っている。そこから推し量られることで充分です。

で、そうしている内に、おそらく疑問が芽生えたのだと思う。そんな時にいろんな方との出会いが大きかったのだなということが本を読むとよくわかる。先ほどクロニクル的と言ったが、オノレの体験がモチーフになっているからそれはしかたのないとこ。ただ、その中で、真摯に、そして実に誠実に目の前のことに対峙する彼の姿は、悪くない。ひととなり、だ。

彼の、もうあんまり今は言わなくなったが「身体運用」という言葉。そこに対する洞察が深まったんだね、そして手応えを感じてるのね、とおれは解釈してる。昔はまだその言葉がお手玉してる印象だったけど。

おそらく、平尾くんは「TEXT」のない世界を手探りで進んでると思う。そこ、上等じゃん。おれもそういうのが大好きだから。でもそのご苦労もわかる。位相を同じくするSAMPLEってあるようでないからね。

おれ、感想って、その内容を「忘れないと」言えないのよ。著者のフレーズを共有して「おーおー」とかアホちゃうかと思ってるので。で、充分「忘れました」ので。でも清々しい一冊でした。ありがとうございました。でも本のタイトルはバッチシだったね。

また、飲みましょう。


平尾剛さんへ


マルタニカズ


posted by 浪速のCAETANO at 10:22| 大阪 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 社会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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