2018年02月03日

曽根崎キッドの日々 3

 視界の下の方に影が見えたが気にはならなかった。まだ十分ほど余裕があるはずだった。影が近づいてきていた。その影は三つあった。その近づき方に少し違和感を感じ、顔を太陽から正面に向けた時、その影の動きが速かった。曾根崎キッドの目には太陽の残像が残っていて、真ん中の影の動きはその残像の中に吸い込まれた。その時首筋に鈍痛が走った。

 十分ほどして、鳥居から白いボルボ・ワゴンがゆっくりと境内へと入ってきた。そしてさきほどボルボ・セダンが停まっていた場所へとスムーズにバックで停まった。右のドアから女が降りてきた。仕立てのいい軽そうなツーピースにバックバンドのパンプスを履き、大きめのサングラスをしていた。辺りを見回すと、表情も変えず自動販売機のところまで大またで歩き、無糖の缶コーヒーを買った。リングを引っ張って開け、口をつけそして辺りを見回した。それから女はゆっくりゆっくりコーヒーを飲み、もう一度辺りを見回し、意を決したかのようにボルボに乗り込んだ。急発進し、タイヤを鳴らして駐車場を出た。左の窓がするすると開き、何かが飛び出した。それは弧を描いて、自動販売機のそばのゴミ箱へと吸い込まれた。コーヒー缶だった。白のボルボ・ワゴンは鳥居の前の信号を無視し上町筋を南に折れて走り去った。  (つづく)

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posted by 浪速のCAETANO at 00:40| 大阪 ☁| Comment(0) | 曽根崎キッドの日々(作り物・続き物お話) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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