2018年02月07日

曽根崎キッドの日々 7

 優先順位は、とにかくここから出ることだった。曾根崎キッドは自由になった両手を愛おしみ、一段飛ばしで階段を上り始めた。二階分上ったところで目の前にむきだしの足が見えた。驚いて立ち止まり、見上げるとおんなだった。オレンジのミニのワンピースを着てきれいに化粧をし、肩までの巻いた薄い栗色の髪だった。無表情ではあったが敵意は感じられなかった。話しかけてみた。
 「ここから出たいねん」「ここからだけでいいの?」
 妙なことを言うな、と曾根崎キッドは一瞬思ったが「うん、そうやねん、わかる?」と尋ね直す。
 「こっち」
 おんなは先にたって階段を上り始めた。曾根崎キッドはそれに続いたが、おんなのスカートの裾がちょうど顔の前にあって妙な気分だった。それでもおんなに付いて四階分ほど上るとドアがあった。おんなが開け、曾根崎キッドが続いた。歩道橋に出た。かなり長いアーチ型の歩道橋で下は動物園だった。動物園を超えて、屋台のならんでいる一角に降りた。
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 いろんな演歌が入り混じって聞こえていた。おっちゃんらがこの暑さのなかでおでんやモツ煮をつつき、焼酎を飲んでいた。曾根崎キッドも急に空腹を覚え、おっちゃんらの仲間入りをしようと思ったが、おんなの存在はこの雰囲気にはどうもそぐわない。それにおんなは裸足だった。
 
 頭を整理してみる。曾根崎キッドは何者かによって拉致された。そいつらは曾根崎キッドの手を縛っていたわけだから、なんらかの悪意を持っていた。しかしそこからこのおんなに導かれて逃げ出した。しかし、このおんなは曾根崎キッドが拉致されていた建物の中にいた。と、いうことは・・・・・・・・・・・・・。    (つづく)
posted by 浪速のCAETANO at 00:31| 大阪 ☀| Comment(0) | 曽根崎キッドの日々(作り物・続き物お話) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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