2018年02月08日

曽根崎キッドの日々 8

 ということは、このおんなは少なくとも曾根崎キッドの味方ではない、と考える方が妥当である。しかし、先ほどから観察する限り、おんなの中には悪意はこれっぽっちも見当たらない。しかし、このまま一緒にいることはやっぱり何かよくないことを引き起こすのではないか。
 「きみは戻った方がええんちゃうかな」「 戻る?ああ、どっちでもええよ」「靴ないの?」「え?、ああ、そうね」「おれが買ってあげるわ」「ほんま?うれしい」「じゃあ、いこう」
 思惑と反対のことになることが、曾根崎キッドは多かった。

 曾根崎キッドはパンツのポケットを探ってみた。500円玉が1個サイド・ポケットから出てきた。トドムンドの社長から経費として5万円預かってきたのだ。このおんなの一派(かどうかはわかんないが)に奪われたのは間違いなかった。
 おんなに靴を買ってあげる、とは言ったものの、500円じゃあしょうがない。曾根崎キッドはいちかばちか経済活動に懸けようと思った。
「パチンコ、この辺にある?」「ちょっといったところ」「行こう」
 おんなに案内され、通天閣がついそこに見えるパチンコ屋に入る。曾根崎キッドはハネものを探した。見たこともないようなクラシックな台が並んでいて、どうしようか、と迷ったけれども、いちかばちかでここへ来たわけだから、いちかばちかで台を選んだ。おんなは隣に座った。「じゃあいくよ」
 大当たりは意外に早くやってきた。店のにーちゃんにマイルドセブンエクストラライトを玉を渡して買ってこさせた。小一時間ほどで玉は三箱ほどになった。その間おんなはじいっと膝に手を置き曾根崎キッドを見てい
た。
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 ふと、曾根崎キッドはパチンコ台に自分の顔が写っているのに気づいて「うわ」と叫んだ。鼻血が一本唇まで垂れて固まっていた。おんなの方を見、顔を指差して「相当やばい?」と訊くと「相当やばい」と答えながら初めて能面のような無表情が緩んだ。「ちょっとトイレ行ってくるわ、きみが打っといて」席を替わり顔を洗って戻ってくれば、おんなも大当たりを出していた。大当たりが終わって換金したら約2万円あった。 (つづく)
posted by 浪速のCAETANO at 04:40| 大阪 ☁| Comment(0) | 曽根崎キッドの日々(作り物・続き物お話) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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