2018年02月12日

曽根崎キッドの日々 12

on the 4th day :
  
 四天王寺境内は早朝からテキ屋の人々で溢れていた。車が駐車場では収まりきれず、境内の中にまで入ってきていた。バンのテールゲートを開けるとそれがショップに早変わりという露店もあった。ここに住み着いているホームレスたちは自然に場所を空ける。曾根崎キッドはテキ屋の人々の手際のよさに見とれながら朝マックをしていた。老人と会う事になっていた。老人が身軽な足取りでやってきた。
「早いのう、若いの」「早起きは三文の得」「ふっるいのう」「あんたに言われたないっす」「わし、ちょっと知り合いみてくるわ。今日は・・」「一日ここにいます」
「あんたが昨日言うてた、ボルボのねえちゃん、来るかもしらんで」「ほんまにぃ」
  曾根崎キッドはひとりになって、自分拉致の現場へ行ってみた。マックのコーヒーはホットを買ってしまったので、半分ほど飲んだあと、早くもヤル気の太陽が四天王寺の気温を上げつつあったから冷たい缶コーヒーを買った。「いったい何度まで上げるつもり?」と太陽の方をうらめしそうに見た。
 その時、あの場面が頭の中で再現された。それは三つの影だった。二つはかなり大きく、もう一つ真ん中の影はそれに比べると小さかった。太陽の残像の中に真ん中の影が吸い込まれる寸前、おんなの顔が見えたような気がした。知っているおんなだった。

 午前中、曾根崎キッドは何をするでもなく露店のにーちゃん・ねーちゃん・おっちゃん・おばちゃんとたわいもない話をしたり、ビールを飲んだりして過ごしたが、三度ほど老人の姿を見かけた。何をしているのかわからないが、その移動の様子は精力的な印象である。昨日の一件があるから、普通のしじいだとは思わないが、見かけはやっぱりおじいさんなわけで、それが背筋伸ばして大股でとんとん歩く姿はやはり意外な気がする。忙しそうだし、今取り立てて何かを話す必要もない。曾根崎キッドはさきほど露店のおっちゃんが教えてくれた「本坊庭園」を訪れてみることにした。(つづく)
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posted by 浪速のCAETANO at 13:55| 大阪 ☁| Comment(0) | 曽根崎キッドの日々(作り物・続き物お話) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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