2018年02月13日

曽根崎キッドの日々 13

 本坊庭園は池の周囲が遊歩道で所々に休憩のためのベンチがあり、曾根崎キッドは飲みかけの缶ビールを持って大きな蓮の群生している前に腰掛けた。蝉が鳴いていた。みーんみんみんみぃーん。翻訳すると「やらして〜」だが、この鳴き声の切実さからすると「やらしてくでぇ〜」ぐらいだな。しかし、蝉はいつやっているのだろうか。やはり後背位なのだろうか。自分が牡蝉ならば牝蝉の羽根なんかにフェチなのだろうか。それとも羽根をかき分けたりするときにゾクッとくるのだろうか。あの蝉の腹部といわれる部分が前後にぐにぐに動いたりするのって挿入中にはごっつい刺激なんだろうか。しかし、そもそもお互いの生殖器はどこやねん。

 「あの・・・・・」「は・・・・・・・?」
 「ちょっと失礼しても・・・」「あぁ、どうぞ、もちろん」
 つばの広いストローの帽子を被ったおんなが突然話しかけてきた。蝉の交尾に夢中になっていた曾根崎キッドはおかんにオナニー見られたような感覚に陥り、たいへん恥ずかしく情けない思いで猫背だった。曾根崎キッドは端に少しずれ、おんなが座るためのスペースを空けた。
 
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 部下Aは壁一面の鏡の前でポーズを取っていた。闘牛士の服を着、手には一本鞭を持って鏡から視線を移すと鞭を振る。スツールの上に置かれたペットボトルが弾けとんだ。ペットボトルを拾いに歩く。大股で姿勢を正して、片膝をついてペットボトルを拾う。その時ノックの音がした。「どうぞ」
 部下Bがおんなの背中を押しながら入ってきた。「言うた通り、上玉でしょ」部下Bが得意げに話す。おんなは後ろ手に手錠をかけられ部下Bを睨んでいた。部下Aは部下Bに手錠を外すように言い、おんなに向かって「もう、これからは殴ったりせえへん。ただし、おれとこいつの言うことは聞かなあかん。今日はこれからお前を6時間ほど拘束する予定やが、もう少し長いかもしらん。お前にとって楽しいことではないかもしらんが、すべて受け入れたほうが苦痛は和らぐ。目の前の人間を喜ばすことだけを考えろ」
 おんなはしばらく黙って目を伏せていたが、頷いた。水滴が足元に落ちた。

 「よし。では始めるで」  (つづく)
posted by 浪速のCAETANO at 01:26| 大阪 ☁| Comment(0) | 曽根崎キッドの日々(作り物・続き物お話) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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