2018年02月16日

曽根崎キッドの日々 16

白のボルボ自体が珍しく、曾根崎キッドは自分が白のボルボ・セダンを見たとき、これだと思い込んだことが、間違いのもとだったことを、おんなの白いボルボ・ワゴンに乗りこんだ時に少々悔やんだ。トドムンドの社長はクルマ好きだから、ボルボといえばワゴンがほとんどであることをいちいち説明しなかったのだろう。曾根崎キッドはチャリンコおよび徒歩のひとであったから、クルマはセダンだと思ってしまっていたのだ。

「トドムンドの社長とは?」
「昔のオトコ。あたしが捨てたのよ。あのひとに訊けば自分が捨てたって言うでしょうけど」
 曾根崎キッドは3人目の知り合いができた。名前は吉沢さつき。
「ねえ、キッド。チャイでも飲んでいこうよ」
「だばこの自動販売機のところで止めて」
 
さつきはボルボを左に寄せ、その角まがったとこの店だから、と言ってクルマを出した。曾根崎キッドが角を曲がると、店の駐車場に白のボルボ・ワゴンは停まっていた。店に入った。中近東ぽい壁の塗り方で土で作った家を模してインド風のデコレーションがされていた。奥の大きいテーブルにさつきは座って店の人だろうか、親しげに話をしていた。曾根崎キッドが向かいに座ると「こちら、曾根崎キッド」とさつきが彼に紹介する。「えっ、キッド?」「ここのマスターのウタマロさん」「・・・・・・本名ではないよね、もちろん」「て、いうか、あなたも全然ちがうよね」「ミファソのマスターの・・・?」「いや、関係ないわよ、たまたまみたい。ただし、ゆうべは一緒に少しだけアバれたみたいよ」「あのマスターがどうかしましたか」彼とさつきは顔を見合わせにっこり笑った。曾根崎キッドは「?」だったが、様子をみることにしていると、さつきが口を開いた。「あの人は新世界キッドなのよ」(つづく)


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posted by 浪速のCAETANO at 00:47| 大阪 ☁| Comment(0) | 曽根崎キッドの日々(作り物・続き物お話) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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