2018年02月20日

曽根崎キッドの日々 20


「しつれいします」おんなの声で我にかえった曾根崎キッドは、窓はそのままに障子の所まで行って「はい」と返事をした。
「お茶を持ってあがりました」さゆりだった。
 障子を開けると、さゆりは正座して、玄関の時と同じく三つ指ついて頭が床につきそうだった。
「入ってもよろしいですか」「どうぞどうぞ」
 さゆりは急須の蓋を開け、ポットからお湯を注ぎ、「しばらくおまちくださいね」と言った。もう夕方だった。
 ひと呼吸置いてさゆりが口を開く。
「曾根崎・・キッド・・さん・・です・・ね」
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 部下Bはおんなを迎えにマンションの入り口に立っていた。あの映像はケーブルTVでマンション群全部に流され、24倍の倍率で30代のIT企業の幹部によっておんなは35万で競り落とされた。朝までコースのはずたったが、幹部に急な仕事が入り、出るからおんなを迎えにきてくれ、と連絡があった。おんなを送ってから5時間ほど経っていた。しかし今日はビデオカメラが回っているとは言え、あんないい半玉をヤれたのは久しぶりでいま思い出しても股間が疼く。時間より早くあがるおんなを迎える。部下Bは携帯を取り出した。「もしもし、ゆうさん?特別室どれか空いてない?」

 さゆりにそう言われて曾根崎キッドはアセった。「曾根崎キッドさんですよね」
 キッド「さん」にも違和感があったが、さゆりが知っているということはあのおんなも知っているということで、その背後がいまだに見えないが、自分を知っているのは、さつきと新世界キッドのおじいさんとウタマロちゃんだけのはずだ。この3人が裏でここのあのおんなと繋がっているとはにわかには信じられなかったが、それこそよそ者の思い込みかもしれないわけで、曾根崎キッドはそうすることが安易に結論を早める予感があったけども、思い切ってさゆりに尋ねた。
 「どうしてその名前を?」
 「え。だって昨日からもう有名ですよ。知りたいですか」「知りたい」「ゆうさんには内緒ですよ」「ゆうさんってひょっとして・・・」「あら、名前しらなかったんですか」
 さゆりはTVのリモコンを手にして「いいですか」と言いながらスイッチを押した。民放と民放の間の使っていないチャンネルに合わせた。見たような風景だった。   (つづく)

posted by 浪速のCAETANO at 04:24| 大阪 | Comment(0) | 曽根崎キッドの日々(作り物・続き物お話) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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