2018年02月23日

曽根崎キッドの日々 22

 異形の人物は目が血走り、その表情はうすら笑いの中にある種の集中を見せ、悪魔的でもあった。キャプションと↑が付いて<曾根崎キッド >とあった。「えっ?」と曾根崎キッドは声を上げた。さゆりは「ね、わかるでしょ」という意味だろうか。曾根崎キッドの方を向いて頷いた。曾根崎キッドはなかなかショックを受けていた。自分がイッちゃってる時の顔はあんななのか、と思うと、自分が他人なら「受け入れられない」と思ったし、第一その様子が極端に異様だった。しかもそいつは眼球を上に集めて「けけけ」と笑い声を上げた。その時おじいさんが画面からすっ、と消え再び画面に現れ、スキンヘッドの歪んだ表情が思いっきりこちらへ近づいたかと思うとおじいさんの身体と共に驚くべき速さで遠ざかり画面から消えていった。ゴツンと鈍い音がした。
 そして髪の毛が顔を覆ったおとこが映った。そいつは左右対称に前髪をかき分け、一瞬静止したかと思えば、「おのれら・・・」と声を張り上げおじいさんに向かって右ストレートを打ってきた。顔面に当たったように見えた。そしておじいさんのアタマは画面から消えていった。一瞬おとこの目が泳いだ。そのときおとこの顎が変な角度ではね上がり、口から赤いものを吹きながらゆっくり画面から消えていった。次のショットでは後頭部を押さえて痙攣しているスキンヘッドの男と、ズラがずれ、口のまわりを赤く染めて動かない2名の姿が映し出された。後ろに現れた悪魔的な男は二人をぴょんぴょん跨いで跳ねながら、「けけけ、けけけ」と笑い、口のまわりが真っ赤な男の頭を跨いで立ち、膝も曲げずに前屈し、男の頭に手をかけ、ズラを外した。そして店から出、ヅラを自分が装着し、二三度首を左右に振り、「コンドーですっ」と叫びヅラを飛ばした。そこで映像は止まった。口が歪み、両目は真ん中上により、そしてヅラは頭部から外れて50cmぐらいのところで浮かんでいた。
 さらに驚いたのはその後だった。その吉本の司会の男が部屋でVTRを見ているのだがカメラがパンしててそこに映ったのは・・・・・・・・・・・・。トドムンドの社長だった。曰く、
 「これこれ、これうちの曾根崎キッドやん。曾根崎デッド・エンド・ストリートのヒーロー、かつ、大バカヤロー。まあ例えて言えば、この路地のカウパー氏腺液っちゅーかんじかな。第一ピーー汁って言うてもええかな。え、こんなとこにいたの。すごいねー。でもね、このヅラ飛ばし、おれが教えたのよ。いやーやってるなー。え、このおじいが新世界キッドって言うの?ほぅー、奇遇だね、偶然だね、同じようなタイプっているんやなあ。うちのキッドも何十年かしたらこうなるんやな。ええ感じやん。まあ何事も勉強アンド経験。一回り大きくなって戻ってくるのを待ってるよー。身体に気をつけてー。おいっす」

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 「なにが、おいっす、なのだ」と曾根崎キッドは思ったが、さゆりはくすくす笑い、「と、いうわけで新世界の有名人なんですよ。時の人というか」(つづく)

posted by 浪速のCAETANO at 04:25| 大阪 | Comment(0) | 曽根崎キッドの日々(作り物・続き物お話) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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