2018年02月26日

曽根崎キッドの日々 26

 これ以上話してても、新世界キッドのおじいさんはなんとなく核心からは距離をもってるな、と曾根崎キッドは感じ、「ちょっと一杯行ってきます」とミファソを出た。さつきがやってくるかもしれなかったが、なんとしてもさつきと話をしなきゃ、という気分でもなかった。
 曾根崎キッドはジャンジャン横丁へと向かった。また串カツでも食べようかと思い、先日ゆうと行った店に行こうと思った。店の前には意外にも行列が並んでいた。日曜日だった。串カツ屋は地元以外のヒトが来る日だった。曾根崎キッドはきびすを返してジャンジャン横丁の入り口を横に入った路地の空いている店に飛び込んだ。 少し酔いたい、と思った。
 日本酒のラインナップを見て、曾根崎キッドは少し嬉しくなった。立山の普通酒があった。それを頼むと10秒で出てきた。串カツもあったから数種類頼み、モツ鍋も注文した。すぐに店員が目の前のコンロにふたのしてある一人用鍋を持ってきてかけた。「10分ほどで」と言い残して去っていった。立山を飲みながら、なぜトドムンドの社長は自分の事をバラしてしまったのだろう、と考えた。それによってすごくやりにくくなったのは事実だし、実際にこちらへ来てからいろんなことがありすぎて、何をするのかがよくわからなくなってきた。ゆうは味方ではないとは思うが新世界キッドのおじいさんやさつきにしてもどこまで信用していいのやら、そして根本的なとこではトドムンドの社長だって、一体何を考えているのか。 全然わからない。
 コップ酒を三口ほどで飲み干し、お代わりと黒ビールを頼むと、串カツがいっしょに出てきた。
 「芥子をください」と店員に言うと、小皿にチューブからうにっと絞ったのを持ってきてくれた。ソースをつけ芥子をつけ、涙出そうなくらい辛い串カツを食べ、黒ビールを飲む。時計を見れば5:30だった。串カツを大方食べ終わった頃にモツが煮えてきた。ふたを開ければ湯気と共にやや危険な香りが立った。その香りは曾根崎キッドを挑発しているかのようだった。一旦はしをつけるともう止まらなかった。立山をお代わりし、モツと野菜を食べ、濃厚なスープを啜り、立山を飲み、曾根崎キッドは「トドムンドの赤ワインもいいが、こっちのこういうのも捨て難いな」と思う。多少自堕落になっているかな。それもヨシじゃないかな。
 立山をもう一杯お代わりしようと顔を上げたとき、視線を感じた。L字型のカウンターの反対側に男がいた。その視線はそれまで数分間曾根崎キッドに固定されていたのだな・という気がした。(つづく)  
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posted by 浪速のCAETANO at 00:45| 大阪 ☔| Comment(0) | 曽根崎キッドの日々(作り物・続き物お話) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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