2018年03月04日

曽根崎キッドの日々 32

 どうやらみなさんの「ふつーの男」に関する興味は見事にしぼんでしまってるみたいだ。「人の噂は7.5分やん」と曾根崎キッドは思い、そして安心した。
 目の前にあることが即座にその興味の上塗りをしていくタイプなのだ。そんなやつほんまにようおるが、こいつらはその典型だ。
 その映像には音はない。スキンヘッドは女の顔を張っていた。くそみたいなやつだ・と曾根崎キッドは思った。その様子をほんの五分間ほどの間の退屈を紛らわせるために食い入るように見ているこいつらも・ゴミだ。
 女はスキンヘッドに殴られ続けていたが、ある時スキンヘッドのきんたまを蹴った。輪郭がぼやけているからスローモーションのように見えたがスキンヘッドがその後身体を二つ折りにぴょんぴょん跳んでたからけっこう効いたのだろう。今度はヅラが女の腕を捻っていた。ヅラのもう片方の腕は女の胸を鷲掴みにしていた。
 その時カメラがズームした。こんなのもありなのか・と曾根崎キッドが思った瞬間、女の顔がエネルギー体のままアップになった。鼻と顎の線がゆうそっくりだった。エネルギー体が横を向き、曾根崎キッドはそのことを確信した。
 曾根崎キッドが突然立ち上がったのと、ウエイトレスが斜めうしろで「はーい、おまたせ」と声を出したのがほぼ同時だった。ウエイトレスは突然トレイを下から曾根崎キッドの肩で突き上げられ、ズブロッカの入ったグラスは宙に舞い、たっぷり液体をウエイトレスの顔に振り注いだ後、地面に落ち、割れた。
 「なにすんねん、こらあ」
 ウエイトレスは男に戻っていた。
 「なにすんねん、こらあ」
 ウエイトレスは曾根崎キッドの胸ぐらを掴んで持ち上げた。足が宙に浮き、顔と顔が同じ高さだった。アイシャドウが滲んでいた。テーブルの四人の興味は一瞬にして目の前の出来事へと移った。 ウエイトレスは両腕で曾根崎キッドの胸ぐらを掴み直し、さらに上へと持ち上げた。プロレス技のネック・ハンギングに近かった。シャツの襟が絞られて頸動脈が圧迫される。拳は顎に当たっていて痛かったが曾根崎キッドは身動きが取れなかった。このままでは失神してしまうだろう。(つづく)  

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posted by 浪速のCAETANO at 00:50| 大阪 | Comment(0) | 曽根崎キッドの日々(作り物・続き物お話) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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