2018年03月11日

曽根崎キッドの日々 39

    部下Bは、さゆりからビデオを回していることを告げられ萎えていた。ものすごくプライヴェートに楽しみたかったのに、「演技」をしなくちゃいけなくなったのだ。解放感は急激にしぼみ、一気に楽しくなくなった。シーメールの女は無理な体勢の中、肩で息をしていたから、縛めを解いてソファの上に座らせた。ビデオが回っている以上、何かしないと、また社長に何をされるかわからない。しかし部下Bは萎え切っていた。女を自分の股の間に跪かせて、しゃぶらせてみたが、みょうにいろんなことを考えてしまって勃起しないのだ。部下Bは生まれて初めてそんな経験をした。ほんのすこしだけ偏差値が上がったかもしれなかった。そのとき、携帯が鳴った。部下Aからだった。

「  ゆうちゃんが安本らにやられた。おまえどこにおる?」部下Bは答えに困った。このことは部下Aにも内緒にしてあった。とっさに口が勝手に喋った。

「おれ、いま、火星です」
部下Aは部下Bのアホさは短いつきあいながら充分にわかってはいたが、これには「ん?」だった。
「はぁ?なんて?」
「いや、その、水・金・地・火・木の火星です」
「はぁ?それどこの店や?」
「いや、その、ずっと上の方・・・」
「上って北いう意味か?」
「いや、あのぅ、火星、かせぃ、か・仮性包茎です、ぼくもあなたも」
「ちょーまてよ、なに言うとんねん。なんでおれが関係あんねん、ほっとけや、仮におれがそーでもやで」
「やっぱ、そーすか」
「ち・ちがうって」
「ほんまですかぁ?」

    こいつ、どないしてん?今まで、「へい」とか「はぁ?」とか、言われたことに反応するだけやったのに。なんや、会話しとる。しかも会話の主導権握っとる。なんでや・急に・と部下Aは不思議に思った。部下Bの偏差値は本当に上がっていたようだ。

「その件はまたいずれ、社員旅行のときにでも。それより、ゆうちゃんや。だるま本店の路地や、すぐ来いよ」
「ぼくの走力なら5分38秒で行けると思います。では現地で」

「なんでや?」部下Aは電話を切ってから「どうも解せん」と思ったが、自分も現場へと向かった。向かいながらも「走力て?5分38秒?」とぶつぶつ言いながら首を傾げた。「水金地火木てぇ・・・・・・・・・・・・?」

    そこには足を投げ出して座り込んだゆうと、数日前に部下A・Bが拉致したあの男が傍に立っていた。(つづく)


D38546BE-6C91-454B-9C8A-0A517D416D78.jpg
posted by 浪速のCAETANO at 02:56| 大阪 | Comment(0) | 曽根崎キッドの日々(作り物・続き物お話) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。