2018年03月14日

曽根崎キッドの日々 42

     部下Aと部下Bが帰って、さゆりはなんだか気が抜けてしまった。たぶん「しんせかいこんにちは」では他にビッグ・ニュースがなけりゃあの映像がヘヴィ・ローテーションのはずだし、でも、あの絵は見たくなかったし、曾根崎キッドにも見て欲しくなかった。
さゆりは「あ」と思い出し、曾根崎キッドには悟られないように地下室へ行った。重たいドアを開けると、あの女のコはもういなかった。ただ洗濯棒・バイブ付きが転がっていて、さゆりは「いや〜ん」と声を上げた。

「今回もだいぶイっとるなー。衝撃的」
「カズさんもえらいもん送り込んできよったなぁ」
「あの人が好きそうな人材ではあるわね、たしかに。それよりゆうちゃんが心配」
「安本のやつらなあ」
「そやけど昼間の話やったら、あれ、今日泊まりよる言うとったしな。今日はもう心配いらんわ」
「うたまろさん、店だいじょうぶなの?」
「今日はヒマと見た。バイトのコたちだけでイケるやろ。それより、今夜またなんか起きそうやな」
「あたしもそんな気がするのよ。ゆうちゃんがあんな目に遭うなんて、安本たちちょっと本気だと思う、今回は」
「そうなったら、あっちの社長もだまってないで」
「正面衝突はあかんな。そやけどあのにいちゃん、読めんからなあ」


「あのハゲとズラぁ、ナメた真似しくさってぇ」
部下Aと部下Bは事務所に戻った時、おかまの社長がそんなことを言うだろう、と予想していた。ところが、
「あんたら、ごくろうやったな。ゆうはどうなん?」と、きた。
「唇がだいぶ腫れとったみたいですけど、大事ではないみたいです」と部下Aが答えた。
「そう、よかったぁ」
意外な言葉に部下Aは「カックン」となったが、部下Bは表情を変えなかった。
「あんた、なんやのん」
「い・いえ、なんもないです」と部下Aは取り繕った。
「しかし、そのう、こんな、やられっぱなしではいかんのでは」
部下Bは部下Aがそういうのを表情を変えずに聴いていた。
「あたりまえやないの」社長の表情が変わった。
「やっぱり!!!」と部下Bは思った。
「あたりまえやないの。あんたら、そやけどなんかええ考えあんの? ただやられたからおんなじようにやり返すでは意味ないんやで。どうせやるんやったら、あいつら二度と立ち直られへんぐらいのダメージ与えたらな。わたしが怒ってないみたいに見えたとしたら、大間違いや。はらわた煮えくり返ってるんやでぇ。売られた喧嘩は買わなあかんけどやな、勝つ喧嘩しか意味はないんや。ほんま・はらわた煮えくり返っとんねんけど。わたしのかわいいゆうをやなぁ、あのきれいな顔をぼこぼこにしよってんで、あいつら。わたしが怒ってないわけないやん。ほんま・はらわた煮えくり返っとんねんでぇ。あんの、ハゲとハゲぇ、ナメた真似しくさってえ!!!」
「あ・ハゲとハゲね。なるほど」と部下Bは思った。
「あの・社長、ぼくにいい考えがあります」
おかまの社長と部下Aは驚いて部下Bを見た。(つづく)

AF6BD63C-A22F-4F3B-AAF7-898231297AC7.jpgF0707FA5-34DB-4599-BAF9-31444056D249.jpg
posted by 浪速のCAETANO at 01:10| 大阪 | Comment(0) | 曽根崎キッドの日々(作り物・続き物お話) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。