2018年03月22日

曽根崎キッドの日々 50

さゆりはどこまでも続くまっすぐの道で途方に暮れた。クルマを見てみると、自分のテイストとはまったく違ったアメ車のオープンだった。「趣味ワルぅ」と思ったとき、今まで自分がそれに乗っていた・と気づき、穴でも掘りたい気持ちになった。

    微かに聞こえてきたエンジン音に振り返ると、遠くに車影が見えた。さゆりは少しほっ・とし、路の真ん中に出て被っていたカウボーイ・ハットを手に取り、クルマに向かって振った。クルマはどんどん近づいてくるが砂埃がひどく、さゆりは自分が見えているのか心配になった。さゆりはぴょんぴょん飛び跳ねて自分の存在をクルマにアピールした。クルマはどんどん近づいてきた。砂煙ももうもうと立ち上がり、それがトレーラーだということがやっとわかった。運転席に知った顔があった。

    笑っている気がしてさゆりはもっともっとぴょんぴょんするのだった。クルマがさゆりの5mほど前で停まったが巻き上がる砂煙がものすごく、それが収まるまでまで30秒ほどさゆりは待たなければならなかった。その時間は一年ほどにも思えたのだが、さゆりにはあまり苦にならなかった。ある確信があった。砂煙が収まるとさゆりは運転席の下までお尻を振りながら歩いていった。そして見上げると青い目の曾根崎キッドが笑いながらさゆりを見下ろしていた。

「ヘイ ベイビー ワラハプン」「ガラ フラッタイヤ」「ウェラユ ゴーイン」「ゴーインダウン トゥ メクスィコ」「オゥケィ カモナップ アィル ティキュウ デァ アィムゴナ ギヴュー ア ライド」「オゥ センキュー」

    さゆりは曾根崎キッドに引っ張り上げられトレーラーの座席へと座ろうとするときに我慢できなくなって曾根崎キッドの膝の上に乗っかり、激しいキスをした。曾根崎キッドはさゆりを抱えたままトレーラーを動かした。さゆりはくちびるを離し、曾根崎キッドの顔をよーく見てみたが、青い目の曾根崎キッドも素敵だった。だからもう一度激しいキスをした。さゆりは今死んでもいいと思った。キスをしながら背中でトレーラーのステアリングを少しずつずらした。そのとき頭の中で「スウィート ジーン ヴィンセント」が鳴り出した。トレーラーが傾き出したのがわかったがさゆりは気にしなかった。曾根崎キッドがブレーキをかけた様子もなかった。「やっぱりキッドはわたしのこと・わかってる」とさゆりは思い、舌を絡め、くちびるをもっと激しく吸った。トレーラーはどんどん傾いていった。

    
    さゆりはトップレスで海岸でうつ伏せになっていた。パラソルが陽を遮ってはいるが暑い。背中を滑る指が心地よく、ときどきため息が漏れる。(つづく)
posted by 浪速のCAETANO at 06:21| 大阪 ☔| Comment(0) | 曽根崎キッドの日々(作り物・続き物お話) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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