2018年03月26日

曽根崎キッドの日々 54

 さゆりは朦朧としていた。魂が抜けてしまったような感じだった。安本に起こされた時からそうだった。怖さはまるでなかった。すべての指示と命令を受け入れた。それは別段嫌なことではなかった。息を吸うような感じだったのだ。そのオトコとオンナはさゆりにいろんなポーズをとらせ、さゆりのあちこちにいろんなものを挿入し、そこからいろんな液体が分泌し、さゆりの身体にいろんな液体をかけた。それはくしゃみやしゃっくりのような感覚でさゆりの神経に届いたが、特に不快感はなかった。オトコとオンナは次々にいろんな器具を出してきてはさゆりの身体で試した。三カ所を同時に塞がれた時は一瞬咳のような感覚に陥って苦しくなったがそれさえも次に同じことをされた時にはもう慣れてしまっていた。自分の身体ではあったが遠い世界の出来事のようだった。

 さゆりはあらゆる方向を試してみた。が、しかし、その空間からの出口は見つからない。

 曾根崎キッドは安本弟と向き合っていた。典型的なヤクザで良心の欠片もないタイプだった。
「後5時間ほどで帰ってきよる。殺したりせえへんで。たいせつな商品やからな。それよりもあんたに礼しなあかんこともあったなあ、そう言えば」
「さゆりちゃんを返せ」
「なんでまた?」
「なんでまた? て決まってるやないか。お前らがやってることは誘拐やぞ」
「まあ正確に言うなら・誘拐・拉致・強制労働・売春強要やけど」
「そんなもん、余計悪いやろ。犯罪やぞ」
「犯罪には慣れっこで〜す」
「前科付くぞ」
「もうふた〜つついてま〜す」
「はげ」
「なんやと」
「はげ」
「もういっかい言うてみい」
「ハ・ゲ」
「こるるるるぉすぞ、ボケぇ」
「兄弟揃ってハゲか。おまえのほうがいさぎええで」
「うるさいのう」
「おとうちゃんもハゲなん?」
「しらんし」
「なんでやねん?」
「ハゲる前に死んだし」
「わかった。おかあちゃん方のおじいちゃんハゲやろ」
「うるさいのう。おかあちゃんもはよ死んだんじゃ」
「お前ら兄弟、なかなかかわいそうやなあ。そんでやくざなったん?」
「放っといてくれ」
 曾根崎キッドは新世界キッドとさつきにできるだけ安本弟と時間稼ぎをするよう言われていた。(つづく)
 

posted by 浪速のCAETANO at 19:57| 大阪 | Comment(0) | 曽根崎キッドの日々(作り物・続き物お話) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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