2018年04月03日

曽根崎キッドの日々 61

 空間の赤い色が濃くなってきたのと同時にさゆりは少し息苦しさを覚えだしていた。何かが起こっているのはもう間違いなく、そしてそれは下のさゆりに何か予想外の動揺をきたす出来事のはずだった。息苦しさとともに動悸も感じていた。少しさゆりは動揺したかもしれない。

 曾根崎キッドは、じれていた。今すぐにでもこのドアを蹴破って中に入り、暴れてさゆりを救い出したかった。さつきは新世界キッドを迎えに下まで降りていった。彼らを待っている時間が無限の長さに感じられた。今こうしている間にもさゆりはまた新たな陵辱を加えられているかもしれなかった。曾根崎キッドは大きく息を吸ってみた。しかし、この玄関前でただ指を銜えて待っている事は非常に自分が能無し・に思えてくる。自分の愛するオンナが中でむちゃくちゃされているというのに一体お前はなんなのだ。トドムンドの社長ならこんな時どうするだろうか? 時間を遡ってさつきとの婚約中にさつきがこんな目に遇っていたらあのおっさんはどうするだろうか? 玄関から「こんにちは〜」と行くのだろうか? そんなはずはない。モニターに映る自分の面は割れている。さゆりはどこにいるのだろうか? あのただっぴろいリビングか? それとも・・・・。

 曾根崎キッドは自分が連れて行かれたときの部屋を思い出していた。そこから見る眺めは群を抜いていて、飛田でさえも夢の街のように見えた。夢の街ではあるよな・確かに・・・・・・・・・・・。そうだ!!!
 そうだ・ベランダだ。ベランダがあるはずだ。ベランダまでなんとか侵入できれば、窓を割って中に入れるかもしれない。

 そう思うと曾根崎キッドは、廊下をつきあたりまで走り、窓から身体を乗り出してみた。そして絶望した。そのマンションはでっぱりというものが皆無だった。少なくともそちらの面にはなかった。となると・・・残る可能性は屋上か。何か道具か方法かが見つかるかもしれない。ただ問題はあのウエイトレスだ。いるかなあ・いるだろうなあ。エレヴェーターから堂々とはやっぱりマズいだろう。よし、階段で上ってみよう。

 さゆりは身体の震えをオンナに気づかれないように懸命に堪えていた。しかし、声を上げながらもうどうでもよくなってしまう予感がしていた。(つづく)

posted by 浪速のCAETANO at 03:17| 大阪 ☁| Comment(0) | 曽根崎キッドの日々(作り物・続き物お話) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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