2018年04月13日

曽根崎キッドの日々 70(最終回)---暫定

on the 10th day

 さゆりは市大病院の集中治療室に搬送され、ひどかった出血は止まり、三日目に意識は戻り、正確に言うと目は開けたが、一言もしゃべらなかった。
 さゆりとオトコは「繋がったまま」救急車に乗せられた。さゆりの下になったオトコは哀れ右の睾丸が潰れ、左の睾丸も激しい損傷で、ペニスは、しかし、さゆりの肛門からなかなか抜けなかった。膣痙攣のような情況がさゆりの肛門に起こっていた。弛緩剤を打たれ、やっと外に出たオトコのペニスは「くの字」に曲がっていて、その後急激にくの字のまま萎んでいった。その後どうなったかは誰も他の誰かに尋ねなかった。
 
 さゆりはあの衝撃でさゆりから放り出され、またあの空間に閉じ込められてしまった。ただ、今回違うのは新世界のことだけは見えるのだ。もちろん下のさゆりのことも見える。さゆりがいる空間とはカメラからモニターへ至る電脳空間を含む空間だった。そこは空間とは言えないのかもしれない。粒子の流れの中の小さなポイントに閉じ込められているのかもしれない。あるいは、そのポイントは常に移動し続けているのかもしれない。ものすごい速さで。

 さゆりはその空間に閉じ込められて以来、曾根崎キッドを探し続けた。さゆりはすべてのモニターを見ることができた。しかし、曾根崎キッドはどのモニターにも現れなかった。

 ゆうはさゆりに献身的に尽くしている。三日間とも付き添っている。ゆうの顔の傷は回復し、唇が少し腫れているだけだ。ゆうはおじいさんとの関係を修復しようと思った。仕事を辞めようとは思わないけれど。

on the 12th day;
 さゆりはモニターをものすごい速さでチェックしていた。通天閣のふもと、ミファソの前を見覚えのある後ろ姿が歩いているのを見た。「キッド!!!」と叫んだ。すると、モニターの画像が乱れ、それはすべてのモニターがそうで、しばらくするとさゆりは自分の視界さえ失ってしまった。
 次に目が見えたとき、目の前にはゆうがいた。

 あるモニターに、斜めに三歩ほど歩いては平参平の真似をするオトコの姿が映し出されていた。そのオトコはその動作を数回して、最後に膝をぴーんと伸ばし、そのまま静止し、30秒ほどそのままキープすると首を傾げ、足を下ろすと、なんとなく不満げな様子で、とぼとぼ歩き、地下鉄堺筋線の入り口に消えていった。                          (おわり・続編へとつづく)
  

posted by 浪速のCAETANO at 02:59| 大阪 | Comment(0) | 曽根崎キッドの日々(作り物・続き物お話) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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